田中将大が“プロデビュー”した久米島、近年では金武町でも…東北楽天のキャンプ

Full-Count 広尾晃

2019.1.31(木) 16:35

東北楽天・平石洋介監督※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
東北楽天・平石洋介監督※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

2005年から参入した東北楽天の第二、第三のホームタウンに

 東北楽天ゴールデンイーグルスは2004年の球界再編に伴ってパ・リーグに新規参入した。平成になって誕生した唯一のNPB球団だ。

 2005年、生まれたばかりのイーグルスは、沖縄県久米島の東端にある久米島町営中里野球場で春季キャンプを張った。久米島町には当時、プロ野球キャンプを受け入れることができる施設が十分に完備していなかったために、久米島町は前年秋から仲里野球場の工事を行い、ナインがキャンプにやってくる4日前に完成させた。

 しかし、本格的な観客席がないうえに、バックスクリーンも貧弱で、プロ野球が使用するには不備があった。そこで久米島町は、この年度に久米島町総合運動公園内に新球場を建設することとなった。こちらも突貫工事だったが、翌2006年の1月に完成。ぎりぎりのタイミングで春季キャンプに間に合った。

 この久米島球場は、サトウキビ畑が広がる中にある。気候は温暖で、キャンプには適していた。球場に隣接して屋内練習場(ホタルドーム)、サブグラウンド、ブルペンもあり、他球団に劣らない施設となった。1年目に1軍が使用した、久米島町営中里野球場は2軍のキャンプ地となった。

 2007年には、前年甲子園を沸かせた駒大苫小牧の田中将大が、久米島球場でプロの第一歩を踏んだ。しかしこの年の久米島キャンプは雨にたたられ、田中の初の打撃投手や、実戦形式の練習などがことごとく雨で流れてしまった。

 離島のキャンプの問題点は「対戦相手」。チームの仕上がりとともに練習試合やオープン戦をしなければならない。そこで2012年から、1軍は、2月中旬には沖縄本島中部の金武町(きんちょう)に移動し、金武町ベースボールスタジアムを拠点に、練習試合、オープン戦を行うようになった。

 金武町ベースボールスタジアムは、この年に完成したばかり。沖縄本島での拠点を探していた当時の星野仙一監督が、この球場の話を聞きつけ、直接現地に出かけて交渉をした。この地は阪神タイガースの宜野座キャンプにも近く、高速道路にも隣接して移動が容易だった。

 1軍が金武町に移動すると、久米島球場には中里野球場から2軍が移動してくる。これまで、金武町ベースボールスタジアムは、正式のキャンプではなかったが、2018年から春季2次キャンプ地となった。行政の協力も明確になり、売店なども増えて、さらに賑わいを増した。金武町は「タコライス」の発祥の地であり、キッチンカーも出店するようになった。

 新興チームだけに、キャンプ地の選定にも苦労した東北楽天だが、久米島町、金武町は第二、第三のホームタウンとして定着しつつある。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

記事提供:Full-Count

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