【林昌範の目】 野球だけじゃない…プロ野球ルーキーたちのグラウンド外の苦労とは?

Full-Count

2019.1.21(月) 07:30

千葉ロッテのドラ1ルーキー・藤原恭大※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
千葉ロッテのドラ1ルーキー・藤原恭大※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

練習に加えて先輩への挨拶やグラウンド外での“仕事”も…

 プロ野球選手はつかの間の休息を終え、来季に向けて自主トレをスタートしていますね。一人で黙々と練習する選手、他球団の一流選手と合同で練習して技術を習得しようとする選手など動きは様々ですが、最も注目されるのはやはり新人合同自主トレではないでしょうか。中日・根尾昂内野手、千葉ロッテ・藤原恭大外野手、北海道日本ハム・吉田輝星投手のトレーニングの様子をテレビで見ると、17年前に新人だった時のことを思い出して懐かしい気持ちになりますね。

 新人の選手は新しい環境に慣れるだけでも大変な中、たくさんの首脳陣の方や報道陣がいる中で練習するため心身で疲労度が大きいです。僕も疲労困憊になった日々を思い出します。ドラフト7位で巨人に入団したので周囲から注目されていませんでしたが、少しでも首脳陣の方にアピールしたくて、まだ1月なのに常に100%を出してプレーしていました。春季キャンプがいらないぐらい必死に練習していましたね。

 どの球団の新人合同自主トレでも初日に持久力テストがありますが、巨人でも3000メートル走がありました。その練習を終えて、「このしんどい練習が毎日続くのか。プロの練習についていけるかな」と不安になったのは今でも記憶に残っています。練習の合間には先輩方に挨拶もしなければいけません。「あの先輩に挨拶したかな?」と同期で相談もしていました。それぐらい毎日色々な方が球場にいますから、人の顔も覚えきれない状況になってしまいます。中には新人の選手に2回挨拶された人もいると思います。

 挨拶の話を出しましたが、グラウンド外でも新人は神経を使わなければいけないことが多いです。高校、大学時代に寮生活で慣れている選手もいるとは思いますが、寮のルールなども覚えなければいけません。僕はプロに入ってから初めての寮生活だったので、ジャイアンツ寮に入ったときには朝に球団旗を揚げ、新聞をきれいにまとめて、アイシングの氷を用意するなど朝から準備しなければいけないことが多く、本当に苦労したのを覚えています。他にも住所変更、税金の手続き、春季キャンプまでに必要な生活用品の買い出しなどやることが山ほどあり、あっという間に時間が過ぎて春季キャンプインしていました。

 傍から見ればわかりにくいかもしれないですが、新人は新しい環境で目に見えない苦労がたくさんあります。ただ僕と違って根尾選手、藤原選手、吉田選手など今の高卒ルーキーはしっかりしているので余計な心配かもしれませんが……ファンの方々も温かい目で見守っていただけたらありがたいですね。プロ野球の世界で活躍する姿が楽しみですし、ケガだけには注意を払ってキャンプインの2月1日を迎えてほしいと思います。(元巨人、北海道日本ハム、横浜DeNA投手)

文/構成 インプレッション・平尾類

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