福岡ソフトバンクは代打でもリーグトップの5本塁打と強打を見せつけた
代打はレギュラー選手に比べれば、出場機会は少なく、目立たない存在だが、成功すれば一躍ヒーローとして注目される。各チームは勝負所での“切り札”を用意している。2018年の代打の記録を見ていこう。
○パ・リーグ チーム代打成績 打率順
福岡ソフトバンク 146打数37安打5本 率.253
千葉ロッテ 127打数31安打2本 率.244
オリックス 181打数44安打2本 率.243
東北楽天 142打数33安打4本 率.232
埼玉西武 79打数18安打2本 率.228
北海道日本ハム 162打数28安打1本 率.173
福岡ソフトバンクが代打率.250を超えている。代打本塁打も最多の5本。代打器用数が最も多かったのはオリックス。最少は埼玉西武。埼玉西武は中軸打者を固定していたので、代打を起用する必要性が低かった。そういう意味では、代打成績が良いこととチーム成績は直結していない。
○パ・リーグ 代打安打10傑
1伏見寅威(オ)28打数10安打0本 率.357
2今江年晶(楽)18打数9安打1本 率.500
2福浦和也(ロ)37打数9安打0本 率.243
2田中賢介(日)38打数9安打0本 率.237
5福田秀平(ソ)23打数8安打3本 率.348
5長谷川勇也(ソ)27打数8安打0本 率.296
5鶴岡慎也(日)33打数8安打0本 率.242
8栗山巧(西)21打数7安打0本 率.333
8川島慶三(ソ)31打数7安打0本 率.226
10小田裕也(オ)18打数6安打0本 率.333
10中島宏之(オ)19打数6安打0本 率.316
10枡田慎太郎(楽)20打数6安打2本 率.300
10渡辺直人(楽)28打数6安打0本 率.214
原則として1打席勝負の代打にとって最も重要なことは「配球を読む」ことだ。本来、打撃が得意とは言えない捕手の名前があるのは「配球」を考えることが多いからともいえる。また、代打は若手ではなく、ベテランの方が結果が出やすいのも「配球」をよく知っているからだと思われる。レギュラーでプレーして蓄えた「経験値」が代打で生きてくるのだ。パの代打本塁打は16本。最多は福岡ソフトバンク、福田の3本。
阪神・原口は代打率4割超えと勝負強さを発揮
○セ・リーグ チーム代打成績 打率順
阪神 295打数77安打3本 率.261
広島 236打数53安打5本 率.225
横浜DeNA 275打数61安打8本 率.222
東京ヤクルト 279打数61安打5本 率.219
中日 283打数58安打2本 率.205
巨人 259打数51安打3本 率.197
投手が打席に立つセ・リーグは代打起用数がパよりも多い。阪神は12球団1の代打率。しかし、これは裏返せば、レギュラーが固定できなかったということになるから痛し痒しだ。
○セ・リーグ 代打安打10傑
1原口文仁(神)57打数23安打1本 率.404
2藤井淳志(中)64打数14安打0本 率.219
3鳥谷敬(神)54打数13安打0本 率.241
3亀澤恭平(中)67打数13安打0本 率.194
5大城卓三(巨)39打数12安打0本 率.308
5伊藤隼太(神)53打数12安打1本 率.226
7畠山和洋(ヤ)38打数11安打2本 率.289
8佐野恵太(De)43打数10安打3本 率.233
8阿部慎之助(巨)43打数10安打0本 率.233
10乙坂智(De)28打数8安打0本 率.286
10松山竜平(広)17打数8安打0本 率.471
阪神の原口は代打率4割。阪神には川藤幸三、桑野議、桧山進次郎など「代打の神様」とよばれた名物選手がたくさんいたが、その系譜に連なるか。彼も捕手出身だ。阪神の鳥谷、東京ヤクルト畠山、巨人の阿部など主力級だった選手の名前もある。セの代打本塁打は26本。最多は横浜DeNA佐野の3本。
プロ野球選手で最初から「代打の切り札」を目指す選手は少ないだろう。レギュラーから漏れた選手がリベンジを期して打席に立っている。だから代打は面白いともいえるのだ。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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