全員でつかんだ勝利だった。楽天が埼玉西武を下し、「2017 ローソンチケット クライマックスシリーズ パ」ファーストステージ突破を決めた。18日から福岡で、リーグ覇者の福岡ソフトバンクとファイナルステージを戦う。
振り抜いた直後に確信を得たのか、ベンチに握り拳を見せながら走り出した。ウィーラー選手が8回2死からソロ本塁打。「今日は寒かったので手の感触がなかったけど、ホームランになってよかった」とおどけながら振り返った一発。直前2試合は無安打と沈黙していた男。だがシーズン31発のパワーを、ここぞの場面で見せつけた。この日は初回2死満塁から、遊撃内野安打で先制点をたたき出し、4回には中前打。さらにその後1死2塁から相手の暴投で炭谷選手がボールを見失った間に一気に本塁まで生還。そして本塁打と3得点に絡む働きだった。
エース・則本投手のKO劇というまさかの展開で終えた初戦。10失点し、得点も0という苦しい状況から、這い上がった。流れを変えたのは、埼玉西武から今季、楽天へ新加入した岸投手。15日に先発し、7回途中無失点と相手を封じ込めた。打線も15日には嶋選手のスクイズあり、この日もチームで4犠打と、得点への執念が実った。新人の高梨投手は3連投。15日、16日と厳しい場面を空振り三振に切り、福山投手も2日連続でイニングをまたぎ、仕事をした。「プレーオフで数字は関係ない。個人個人が持つ仕事をやっていれば、勝利はついてくる」とウィーラー選手はナインを代表して語った。
対する埼玉西武は本拠地の大声援を味方につけたものの、ここで終戦。CSのファーストステージ、初戦に勝利したチームでパ・リーグでは初めて、ファイナルの切符を逃した。この日は初回の秋山選手の右中間への三塁打をはじめ、5、6、7回と先頭打者を塁に出したが、なかなか得点につながらず、15日、16日の2試合で適時打はゼロと、10得点をもぎ取った初戦からまさかの沈黙。悔しい敗退だが、新4番に成長した山川選手、新人王の有力候補・源田選手、レギュラーに定着した外崎選手など若手が躍進し、シーズン13連勝も記録。エース・菊池投手は16勝と安定感抜群の1年だった。秋山選手、浅村選手、中村選手ら実績のある選手たちに、森選手らを加えた若手も融合し、来季に期待が持てるシーズンであったと言えるだろう。
3位からの下剋上という“第一関門"を突破した楽天。気を休めることなく、1日空けてすぐにファイナルステージが始まる。今季94勝49敗という抜群の成績で優勝した福岡ソフトバンクは、リーグ優勝の恩恵ですでに1勝のアドバンテージもある。当然厳しい戦いとなるのは必至だが、楽天はこの勢いそのままに迎える現状を味方につけたい。快進撃の前半戦、首位で折り返すも、夏場の大失速で終えたリーグ戦。悔しさをぶつけるためにも、福岡ソフトバンクの待つ福岡へ乗り込む。
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