ロッテ・唐川侑己、冴え渡ったカットボール 6年ぶりに先発勝利を挙げるなど3勝
ベースボールキング
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2024.12.24(火) 09:00
ブルペンで投球練習するロッテ・唐川侑己[撮影=岩下雄太]
「4月チャンスもらって投げられて、そこから1ヶ月くらいちょっと休んじゃったのでそこが悔いが残るところではあります。それが空けてまた一軍で投げられているので、そういった意味では良かったですけど、はい」。ロッテ・唐川侑己はプロ17年目の今季、6年ぶりに先発勝利を挙げるなど、8試合・38回を投げ、3勝2敗、防御率2.37の成績を残した。
◆ 開幕ファームスタート
唐川は18年途中からリリーフで投げてきたが、昨季途中から先発に再転向。オフの自主トレでは「中継ぎも先発も変わることなくというか、しっかり体を起こして体を強くして、柔らかくしてというところですね」とトレーニングを積んだ。
昨年先発に復帰してからは、カットボール、チェンジアップ、カーブだけでなく、スライダー、スプリットを再び投げ始めるなど、球種が多彩になった。「先発なので変化球でどれくらいカウントを取れるか、その日の調子に合わせて組み合わせてやっていく必要があるので、そこは満遍なくというか、全球種高めていきたいなと思います」。
今季に向けて春季キャンプでは、「僕自身テーマとして強い真っ直ぐ、強い真っ直ぐがあるからこその緩急であったりというのを一番大事にしている」と話し、「その時、その時で自分ができることをやってチームに貢献できるというのが一番かなと思います」と意気込んでいた。
2月25日の韓国ロッテとの練習試合、3月2日の西武とのプレシーズンマッチでの一軍登板はあったが、オープン戦の一軍登板はなく、開幕をファームで迎えた。
中5日で先発した4月5日の西武二軍戦では、5回・63球を投げ、4被安打、1与四球、1失点。失点したのも連打で崩れたわけではなく、0-0の3回一死一、三塁で長谷川信哉を1ボール2ストライクから141キロインコースカットボールでうまく引っ掛けさせ、遊ゴロに打ち取ったものの、ダブルプレーが取れず三塁走者の生還を許したものだった。
同日の西武戦では15個のアウトのうち9個がゴロアウトで、走者を出しながらも2度の併殺で切り抜けた。球数も3回に23球を投げたが、1回が12球、2回が10球、4回が7球、5回が11球と省エネ投球だった。
ファームで3試合(2先発)・12回を投げ、0勝1敗、2奪三振、0与四球、防御率2.25の成績を残し、一軍での先発を掴んだ。
◆ 今季初先発で抜群の存在感
「自分自身にその日に合わせてできたというところだと、今年初めて投げる試合でゲームに入れたのは収穫があるかなと思います」。
今季一軍初登板となった4月16日の西武戦、2年ぶりの白星はお預けとなったが、5回までパーフェクトに抑えるなど、6回・67球を投げ、1安打、7奪三振、0与四球、無失点の好投を見せた。
「ストレートは投げていなくて、カットボールだけでした。全部カットです」。
風速10メートル以上の風が吹く中、カットボールが冴え渡った。初回先頭の金子侑司を1ボール2ストライクからカットボールで空振り三振に斬って取ると、2回も先頭のアギラーを2ボール2ストライクから浮き上がってくる146キロのカットボールで空振り三振、この日初めて走者を背負った1-0の6回二死二塁で金子を3ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた球種も144キロのカットボールだった。
「風があったので、それでカットボールの成分が高かったので、それによってフライ、空振りが多かったのかなと思いますね」。
カットボールと共に、左打者へのチェンジアップも良い抜けだった。特に0-0の2回一死走者なしで栗山巧に対し、初球134キロのチェンジアップで見逃し、続く2球目も134キロのチェンジアップで空振り、3球目の144キロのカットボールをファウルにさせ、4球目の134キロ外角に逃げるチェンジアップで空振り三振。栗山を空振り三振に仕留めたチェンジアップは素晴らしかった。
「バッターが僕のイメージはカットに入ってくると思うので、そこでチェンジアップをしっかり投げられたら有効かなと思うので、それがたまたまいい球がいった感じかなと思います」。
16日の投球では初回、金子侑司の2球目にカーブを投げて以降、ほとんどカーブを投げていなかった。先発に転向した際、“その日の調子に合わせて組み合わせてやっていく必要がある”と話していたが、16日の登板に関してはカーブが必要ではないと判断してあまり投げなかったのだろうかーー。
「そうっすね、必要ではあるんですけど、風でカットボールで空振りが取れていた。あまり長いイニングを投げる予定ではなかったので、どんどんいい球を投げていくスタイルでというところですね」。
登板翌日の17日も一軍の試合前練習に参加していたが、同日に一軍登録を抹消となった。「しっかり言われた試合で自分の納得のいく状態で入っていくことが大事。その積み重ねかなと思っています」と次の登板を見据えていた。
◆ ファームでの日々
4月16日の西武戦での一軍登板後、1カ月登板がなく、5月25日のオイシックス戦に先発し1回を無失点に抑えると、6月1日のヤクルト二軍戦ではは1-0の5回から登板し、3回・37球を投げ、3被安打、2奪三振、無失点に抑えた。3イニング目となった1-0の7回二死一塁で鈴木叶に1ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた外角143キロのストレートが良かった。
唐川はストレートとカットボールを投げているが、4月16日の西武戦ではストレートを1球も投げなかった。カットボールを多く投げる日はZOZOマリンスタジアムの風を味方にできることも関係しているのだろうかーー。
「それは確かにそうですね。一軍で投げた時はカットボールと風の相性が良かったので、カットボールが多くなりましたけど、じゃあ、まっすぐをいつ投げるのかと言われたら、フィーリングです」。
また、同日のヤクルト戦では1-0の6回一死一塁で宮本丈に1ボール1ストライクから投げた3球目の130キロ空振りを奪ったチェンジアップが良い抜けだった。チェンジアップを投げているが、昨年シーズン終盤から投げていたスプリットをシーズン始まってからほとんど投げていない。それはチェンジアップが良いからスプリットを投げていないのか訊くと、唐川は「そうっすね、はい。そんな感じです」とし、「優先順位が低いというか…」ということも関係しているそうだ。だからヤクルト二軍戦では優先度が高かったカットボール、カーブが中心だったのだ。
続く6月9日の楽天二軍戦で5回・85球を投げ1失点、6月17日のオイシックス戦が5回・57球を投げ無失点、6月25日の楽天二軍戦が5回・91球を投げ4失点、7月3日の巨人二軍戦が7回・今季最多となる117球を投げて2失点、7月13日のヤクルト二軍戦が7回・79球を投げ無失点と、6月9日の楽天二軍戦以降5試合に先発し全て5イニング以上投げ、少ない球数で長いイニングを投げた。
「ファームでもストライク先行でいけている時はいいピッチングができている。やってきたことしか出せないと思うので、それを目指してやりたいなと思います」。
唐川の好調のバロメーターは少ない球数で抑えることと、フライアウトが多い時。唐川が目指すフライアウトは「ちょっと高く上がるポップフライ。バッターがとらえたと思ってフライアウトになるのが一番」とのことだ。
◆ カットボールが進化
この時期、唐川の最大の武器である“カットボール”がさらに進化を見せた。
唐川が投げるカットボールはストレートとの球速差がなく、とても見分けがつきにくいボールだが、現在は130キロ台前半のカットボールを投げたかと思えば、140キロ台後半のカットボールを投げるなど球速差を出している。
その理由について訊くと、唐川は「長いイニングを投げる中で強弱をつけている感じですね。カウントを取る時は遅くなるし、決めに行く時は速くなるし場面によってですね」と説明した。
カットボールの精度がよく、7月3日巨人二軍戦で2-1の5回先頭の山瀬慎之助を1ボール2ストライクから外角見逃し三振に仕留めた144キロカットボール、7月13日のヤクルト二軍戦で0-0の2回一死走者なしで川端慎吾を投ゴロに仕留めたインコース145キロカットボールは素晴らしかった。
同日のヤクルト二軍戦、2-0の7回先頭の太田賢吾に2ストライクから外角見逃し三振に仕留めたカットボールも、「決まったところにしっかり投げられたのは良かったと思います」とかなり良い球だった。
6月17日のオイシックス戦、「ちょっとボール気味ですけど」と唐川本人が振り返ったが、0-0の初回二死一塁で陽岱鋼を3ボール2ストライクから6球目のインコース143キロカットボール見逃し三振も良かった。
また、6月25日の楽天二軍戦、2-4の5回二死走者なしで、黒川史陽の初球、映像では150キロを計測したが、唐川本人に確認すると、「150も出てなかったです。あれもカットですね」と明かした。
ファームでは唐川最大の武器であるカットボールが抜群の威力を誇った。
◆ オールスター明けに2度目の一軍先発
7月27日の楽天戦で、今季2度目の一軍先発が巡ってきた。6回・90球を投げ、3被安打、4奪三振、1与四球、1失点で先発投手としては18年7月5日のオリックス戦以来の白星を手にした。18年後半からリリーフに転向し、リリーフを経験しての先発での勝利に「中継ぎしたからかわからないですけど、この世界で野球をやっている以上は1日1日何か成長しなきゃなと思ってやっているので、そういった意味では前の先発とは違う内容だったのかなと思います」と振り返った。
以前先発していた時よりも勝利へのこだわりが強くなったり、変化はあったのだろうかーー。
「う〜ん、そこは変わらないですけど、1イニングの捉え方だったり、バッターの捉え方はずっと先発していた時と違うのかなと思います」。
楽天戦ではカットボールとともに「チェンジアップも比較的コントロールできた球だったのかなと思いますね」と、チェンジアップも素晴らしかった。
昨年から右打者にも投げるようになったチェンジアップ。前回の楽天戦でも4-0の3回一死走者なしで石原彪を1ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた133キロチェンジアップは良かった。その右打者へのチェンジアップに関しては「自信持ってというほどではないですけど、自分の中の選択肢として頭に入れながらという感じですね」と振り返った。
◆ 勝利し益田と抱き合った8月10日のオリックス戦
今季3度目の8月10日のオリックス戦は6回・86球を投げ、4被安打、5奪三振、1失点で2勝目を挙げた。この日は「コントロールよく投げられたかなと思います」と、左打者のインコースのカットボールが冴え渡っていた。特に「球も強くて良い球だったなと思います」と、0-0の2回先頭の森友哉を1ボールから投じた2球目の見逃しを奪った145キロインコースカットボールが良かった。
4回以降は左打者のアウトコースにカットボールを投げ、3回り目となった1-1の6回先頭の大里昂生に2ストライクから145キロのインコースカットボールで空振り三振に仕留めるなど、再びインコースにカットボールを投げた。「いい感覚があったので、集中力を持ってできたのかなと思います」と振り返る。
同日のオリックス戦での右打者のカットボールについても「右のインコースにも効果的に使えたし、内、外に投げ分けができていたので、良かったかなと思います」と振り返った。その中でも、1-1の5回一死一塁でセデーニョを2ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた143キロインコースカットボールが良かった。本人も「配球が良かったので、その前(三振の2球前)のカーブも含めて。投げやすいというか、キャッチャーとコミュニケーションを取れている中で投げられたボールだったので、効果的に投げられたかなと思います」と納得のいくボールだった。
そして、勝利した後、守護神・益田直也と抱き合って喜んでいたことについて訊くと、「前回仙台で勝った時に直也に寂しい反応だったと言われたので、感情を入れてという感じです」と笑顔を見せた。
◆ 今季初のリリーフ登板
8月16日のソフトバンク戦では、「ちょっと難しくはありましたね」と今季初めてのリリーフ、そしてドーム球場での登板。
難しかった部分について唐川は「ゲームの入り方、いつ投げるというのはある程度言われていたんですけど、ゲームのタイミング、久しぶりってほどではないですけど、力みがあったかなと思います」と話した。それでも1イニング目となった0-4の5回は2番・今宮健太から始まる打順も危なげなく3人で、10球オールカットボールで打ち取った。
ただ、唐川本人はソフトバンク戦のカットボールは「あんまりコントロールも良くなかったですし、ボール先行になることもあった。いい感じではなかったですね」とあまり納得がいっていなかった。
素晴らしいボールもあった。0-4の6回先頭の近藤健介を1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた145キロの浮き上がるインコースのカットボールだ。「そうっすね、あれは良かったかなと思います」と笑顔を見せた。
インコースのカットボールは「全部が悪くはなかったわけではないので、その中で良い球もありました。率がちょっと悪かっただけで、良い球もあったのでなんとかなったのかなと思います」と説明した。
8月10日のオリックス戦から中5日でのリリーフ登板となったが、そこに関しては「体的には不安なく入れたので、問題なかったなと思います」とのこと。この先、中6日での先発があったとしても、「僕はそのつもりで生きています」と問題なくできるとのことだ。
◆ 8月10日のオリックス戦以来の先発
8月28日の西武戦では8月10日のオリックス戦以来となる先発登板。「点取られたところと1回、2回とちょっと色気付いてというか、綺麗に抑えようとしすぎた」と初回に3点を失うも、「そこら辺は考え方を変えて3回以降はできたかなという感じですね」と2回以降はスコアボードに0を並べ、6回・100球を投げ、7被安打、6奪三振、0与四球、3失点で勝ち負けつかずという内容だった。
唐川の最大の武器であるカットボールは、1-3の2回先頭の元山飛優を3ボール2ストライクから8球目の外角140キロカットボール見逃し三振、1-3の4回二死一塁で古賀悠斗に1ボール1ストライクから3球目のインコース138キロ見逃しカットボールが良かった。唐川本人も「そうですね、比較的三塁側のボールはコントロールできていたかなと思います」と納得の表情。
浮き上がるようなカットボールも投げていたが、その真意について訊くと、「元々低めを狙っていないので、という感じです」と説明し、「ホームランを打たれたボールは外のボールだったので、バッターの打てる球ではあったのかなというところで反省点ではありますね」と語った。
0-1の初回無死二塁で西川愛也に投じた初球の高めカットボールをライトスタンドに運ばれたが、あのボールは、唐川が取材で口する“フライアウト”で打ち取りたかったボールだったのだろうかーー。
「もっとファウルを取れるかなと思って投げたボールがちょっとスッといきすぎてバチンと打たれたという感じですね」。
そのカットボールも2回以降は修正し、投球を支えた。
この日、1-3の4回に先頭の外崎修汰を132キロのスライダーで空振り三振、二死一塁から古賀を130キロのスライダーで空振り三振に仕留めるなど、右打者にはスライダーが多かった印象。
「スライダーに関してはずっとやってきている、チャレンジしていることで、西武戦はいい感じで投げられた。コントロール、抜ける球もなかったですし、いい球が投げられたと思いますね」。
カーブも1-3の3回二死走者なしでガルシアを2ボール2ストライクから118キロの空振り三振に仕留めた球が良かった。「カーブのコントロールもしっかりできていたので、その中で低めにいい球を投げられたかなと思います」。
「どれくらいカットボールを投げられるかというところで、序盤チェンジアップが多くなったりとかカウントが悪くなったりとかが多かった。もう1回原点に帰って、カットボールをしっかり左バッターの内に突っ込んでというところの意識がありました」と、序盤はカットボール、チェンジアップを中心とした配球となったが、4回以降はチェンジアップを投げたのはわずかに1球だった。
◆ 3勝目
9月10日のオリックス戦では、立ち上がりからカーブが多く、0-1の2回一死走者なしで来田涼斗に1ボール2ストライクから4球目の119キロ縦に落ちるカーブで空振り三振が良かった。唐川本人も「コース、高さも理想的な打ち取り方ができたカーブだったかなと思います」と振り返った。カーブは縦気味に落としている時もあるように見えるが、「縦のイメージを持っています」とのことだ。
チェンジアップも0-1の3回先頭の横山聖哉に、1ボール1ストライクから3球目の外角に空振りを奪ったボールが良い抜けだった。
「(チェンジアップの)投球数自体は多くなかったのかなと思うんですけど、バッターの狙い球によって外せる球だと思うので、そう言った意味ではいいカウントの取り方ができたかなと思います」。
4回以降、割合が増えたスライダーについては「スライダーもチャレンジ中なので、どんどん良くなって手応えが一応あります」と好感触。
気になったのが、3-1の4回二死一、二塁で若月健矢に2ストライクから3球目に投げた135キロ縦に落ちるスライダー。もっと多く投げていきたい球種のひとつなのだろうかーー。
「というよりも、場面によってコースにきっちり投げるだとか、というのを大事にしているので、低めにと思えばそういう球になるというところですね」。
縦のスライダーは腕の振りで落ちているわけではないのだろうかーー。「そうっすね、特に変えているというか、意識の中でどうするかという感じですね」。
カットボールに関しては「軸になるので悪くはないですけど、それベースで次に何にするかという段階で今は考えられている。ベースとしては悪くないのかなと思います」と明かした。
初回、先頭の廣岡大志に2ボール2ストライクから空振り三振に仕留めたインコースの143キロカットボールは浮き上がっていた。「球自体どうこうというよりも強さを一番大事にしているので、初回に関してはコース、高めだったんですけど、コースにしっかり投げられたのでいい球だったと思います」。
5回・76球を投げ、5被安打、3奪三振、1与四球、1失点で3勝目を手にした。
◆ 投球スタイル
8月28日の西武戦では序盤チェンジアップが多かったが、途中からチェンジアップの割合を減らしたり、9月10日のオリックス戦では4回以降はスライダーの割合を増やしたりと、投球の幅が広がったように見える。その時にいい球を選択して投げているのだろうかーー。
「そこは結構キャッチャーとの共同作業ということで、キャッチャーとの意思の疎通はできているかなと思います」。
意思疎通や危機察知能力が上がった要因は「経験といったら偉そうですけど、(リリーフに配置転換した18年途中より前)その時よりは長く野球をやっていますし、中継ぎも経験しました。そういったところが活きているのかなと思います」と分析し、「(佐藤)都志也にしても田村にしてもコミュニケーションをとってくれるので普段から話はしやすいので、そこら辺が要因かなと思います。どちらかといったらキャッチャーの要因かなと思います」と捕手陣に感謝した。
◆ 今季を振り返って
CS争いが熾烈になっていく中で、9月23日には3位を争う楽天戦に先発。初回二死二塁から浅村栄斗にセンターへ先制の適時打を浴びると、2回には小深田大翔に2ランを浴びた。3回と4回は無失点に抑えたが、4回・74球を投げ、4被安打、3奪三振、2与四球、3失点で今季初黒星を喫した。
吉井理人監督は試合後、「調子は良さそうだったんですけど、浅村に軽打されたり、小深田のはちょっと油断したのかな。キャッチャーの構えを見てもストライクをとりにいったボールが小深田選手のツボに入っちゃった。それ以外は調子は悪くなかったと思います」と唐川の投球を振り返った。
10月4日のソフトバンク戦は、8月16日のソフトバンク戦以来のリリーフ登板。この日は一軍に昇格したばかりの寺地隆成とバッテリーを組んだ。2回を投げ、球数は39球と少し多め。普段はあまり組まない新人だったことも関係していたのだろうかーー。
「どうだろうな、あんまりコントロールが良くなかったというところもありますし、一応サインに首振らないで投げようと思っていたので、その中でキャッチャーの期待に応えられなかった部分というのが球数が多くなった理由ですね」。
その中で、ソフトバンク戦ではカーブが多かった。「カーブは前回登板多めに投げて、サインが出たので投げたんですけど、空振りも取れたし前よりは良い球になってきているのかな。空振りが前より取れるようになっている。そういった意味では前より良くなっているのかなと思います」と自己分析した。
CSでの登板はなく、ソフトバンク戦が結果的に今季最後の登板となった。唐川の今季を振り返ると、登板間隔が空いた登板だったり、ファームでは開幕直後に中5日で先発するなど、調整の難しさはなかったのだろうかーー。
「いろんな人に相談しながらどういう調整が良いかは話し合いながらやってもらっているので、難しさというのはないですけど、中継ぎと先発では試合前の入り方が違うので難しさは当然ありますけど、そこはできなくてはいけないところだと思うので、工夫しながらやっていこうと思います」。
筆者個人的には登板間隔を空けながら先発していた6月、7月はファームでも安定した投球をしており、一軍での登板を見たかった。唐川本人に伝えると、「個人的な欲を言えば一軍でもっと投げたいなというのはありましたけど、それは4月(チャンスを)もらって怪我した僕のせいでもあるし、そんなわがままいう立場ではないので、僕がいうことではないかなという感じです」と返ってきた。
今季はカットボールの制球がよく、与四球も38イニングを投げてわずかに3つ、場面によって三振を狙うなど奪三振も増え、登板間隔を空けての先発も結果を残し続けた。来季は36歳の年男。マリーンズの勝利に1つでも多く貢献していきたいところだ。
取材・文=岩下雄太