ロッテの選手に聞いた“優勝”するために必要なこと 荻野「個々の力を上げていって…」、小島「みんなが1つの方向を向いて戦うのが大事」

ベースボールキング

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2024.10.16(水) 08:31

ロッテナイン (C)Kyodo News

 ロッテは1974年以来の勝率1位でのリーグ優勝を目指したが、今季は71勝66敗6分の3位、2年連続のAクラス入りを果たしたものの、今季もリーグ優勝を手にすることはできなかった。

 ロッテはチームビジョンとして“常勝軍団”になることを目標に掲げている。2020年以降、2位、2位、5位、2位、3位と直近5年で4度Aクラスに入り、21年には51年ぶりに優勝マジックを点灯させるなどシーズン最終盤まで優勝争いを繰り広げた。

 近年はシーズンオフだけでなくシーズン中もチームのウィークポイントを的確に補強し、球団として育成方針を振り返ったり、この先の若手選手を育成していくための蓄積されたデータを球団と管理し、2020年からは順天堂大学・医学部と提携を結び、コンディショニング、運動能力測定、救急対応、栄養管理部門などのサポートを受け、若手選手たちを“一人前”に育てようとする本気度が伝わってきた。Aクラスに入るようにはなってきたが、リーグ優勝まで届いていないというのが現状。では、マリーンズの選手たちはリーグ優勝するために必要なことはどんなことだと考えているのだろうかーー。10月3日の日本ハム戦の試合前練習から10月9日のZOZOマリンスタジアムで行われた一軍全体練習までに取材した選手たちの声を紹介したい。

 チーム最年長の38歳・荻野貴司は「個々の力を上げていって、それがチームの底上げ、チーム力につながっていけばいいのかなと思います」と選手のレベルアップを挙げた。その中で、荻野自身は今季80試合に出場して、打率.279をマークするなど、チームに欠かせない存在感を放っている。まだまだ荻野には活躍してもらわないと行けない一方で、“常勝軍団”になるためには若手の成長も必要不可欠。荻野自身は若手の突き上げをどう感じているのだろうかーー。

 答えにくい質問だと思うが、荻野は「僕がまだ試合に出たりしているというのは、若手選手が育ってきていない証拠なのかなと感じもするので、僕が出られなくなる状態になれば、若手の力がついた証拠になると思います」と丁寧に答えてくれた。

 07年の高校生ドラフト1巡目でプロ入りし、地元・千葉県出身で今季は伝家の宝刀カットボールを武器に3勝、防御率2.37の成績を残した17年目の唐川侑己は、高卒3年目の2010年に日本一を経験している。「その時の象徴といったら僕的には西岡(剛)さんだと思うんですけど、西岡さんがキャンプの初日からリーダーシップをとってチームを引っ張るという姿勢を1年間やってくれていた。それにつられてチームも浮上した。リーグ戦は3位ですけど、日本一になった印象が僕は強い。若手にもベテランにもそれぞれ役割があると思うので、それが噛み合ったら、チームは強くなると思う。そこら辺は(若手、中堅で引っ張ってくる選手が)もっと出てくれば。先発ピッチャーが良いですし、他球団と見劣りしているとは思わない。そこが噛み合えばどんどん勝てていけるのかなと思います」。

 18年のドラフトでプロ入りし、プロ6年間で4度Aクラスを経験し、今季はシーズン自己最多の12勝、163回1/3、132奪三振をマークした小島和哉は「みんなで一つの方向に。しっかりとみんなが同じ方向に向くことだと思います」と語った。

 続けて小島は「それは野手もピッチャーもそうですけど、ピッチャーが良くない時は野手に助けてやるぞという気持ちが必要だと思いますし、その逆も然り。打てない時こそピッチャーの頑張りどころだぞと思ってやることとか、その考え方、気持ち一つだと思うので、先発陣の輪というのもありますし、先発は中継ぎに託すので、中継ぎの人との輪もある。みんなが1つの方向を向いて戦うのが大事かなと思います」と説明した。

 小島の1学年年下でプロ5年目の今季、自身初の規定打席に到達しリーグ4位の打率.278をマークし、11月に行われるプレミア12の日本代表にも選出された佐藤都志也は「一人一人の意識もそうですけど、最後は負けられない戦いとなった時に気持ちの勝つチームが勝つ。全員が日本一目指してやることが情熱を持ってやれるかがポイントかなと思います」と語った。

 21年途中にトレードでDeNAからロッテに加入し同年のリーグ優勝争いでセットアッパーとして2位入りに貢献し、今季は球団新記録となる24試合連続無失点を記録した国吉佑樹は、「チームでどうこうというよりは、僕は選手なので個々の能力をプレーで最大限に発揮するところ。1試合、1試合、続けていくことだと思うので、勝敗に関しては首脳陣の人たちが勝てる采配をしてくれると思う。僕らはそれに応えるように全力でやるだけだと思います」と選手自身が一軍の舞台でしっかりとしたパフォーマンスを発揮することだと話してくれた。

 チーム力は5、6年前に比べて間違いなくアップし、チームとしての取り組み、進むべき方向性は間違っていないと感じる。それが“リーグ優勝”という結果に繋がっていないため、厳しい声もあるが直近5年で4度Aクラス入りは成長点。来年こそ、そういったモヤモヤを晴らす1年にしたい。

取材・文=岩下雄太

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