ロッテ・福浦コーチ「粘り強く四球を選んでいいところで誰かが打つ」今季の打線を振り返る
ベースボールキング
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2023.11.22(水) 10:00
ロッテ・中村奨吾(右)と福浦コーチ(左)[撮影=岩下雄太]
「粘り強く四球を選んでいいところで誰かが打つ」。ロッテの福浦和也コーチは今季の打線の印象についてこのように振り返った。今季のロッテ打線はチーム打率.239、チーム得点505、チーム本塁打100本はいずれもリーグ4位の成績で、四球数はリーグ3位の453、犠打数はリーグ2位の116個。
規定打席に到達した選手は4人いたが、打率(.242)、本塁打(26)、打点(75)ともにグレゴリー・ポランコがチームトップだった。中村奨吾は打率.220、安田尚憲も打率.238、9本塁打、43打点、山口航輝は自身初の規定打席に到達したが、打率.235、14本塁打、57打点と寂しい数字。
それでも、規定打席に到達しなかったが、角中勝也、藤岡裕大、岡大海、石川慎吾、茶谷健太などが要所で勝負強い打撃を見せ、故障者や成績不振の選手たちの穴を埋める働きを見せた。
◆ 試合を想定した打撃練習
今季は試合前の打撃練習が去年までと変わった。これまでは試合前の打撃練習では時間で交代して打っていたが、昨年の秋から5球交代で何グループに分かれてローテーションで打つようになった。
その狙いについて福浦コーチは「5スイングしかないので、1球1球集中しないといけない。最初調整みたいな感じが出ちゃうし、意図はありますね。5球しかないのをしっかりとらえる。1球目からミスしないように捉える」と説明した。
選手たちの試合前打撃練習を見ると、藤原恭大は最初の5球は反対方向に打ったり、ノーステップで打ったりすれば、茶谷健太は5球のうちのどこかでバントを入れたり、角中勝也は5球目にノーステップ打法で打つことが多かった。試合に向けて選手一人一人が意識高く準備をしていた。
◆ 積極的に仕掛ける
試合では、昨季途中までは相手に球数を投げさせ四球を選んだりすることが多かったが、今季は初球から積極的に打っていた印象だ。1年間マリーンズ打線が相手投手陣に投げさせた球数を見ても昨年は143試合で20837球だったが、今季は143試合で20728球と若干ではあるが減少している。日本ハム・加藤貴之、楽天・岸孝之などが先発したときには初球から積極的に仕掛けていた。
福浦コーチは「ピッチャーによってですね。やられたらこういうふうにするとか、戦略じゃないですけど、そういうのはありましたね。こういうピッチャーの時はこういうふうに対策するとか、対策ですね」と振り返った。
その一方で、今季も攻撃面での武器である犠打、進塁打といった小技は継続。116度犠打を成功させ、そのうち犠打失敗は18、一、二塁の場面での犠打は今季24度あったが失敗はわずかに3度だけ。犠飛はリーグトップの39だった。
福浦コーチは「村田コーチだったり、なんとか反対方向で1点でも取れるようにと言っていましたからね。そこは良かったなと思います」と振り返った。
チームトップタイの5犠飛をマークした山口航輝も「最初の前半戦はヒットが出なかったので、外野フライ、犠牲フライを意識して打っていました」と話した。
シーズン通してなかなか調子が上がらなかった中村も進塁打、犠打と数字に見えない部分で貢献。本人は「調子が上がらない中で最低限の仕事はと思ってやっていましたけど」としながらも、「そういうところももっとできたところもありましたし、う〜ん、全体的にあんまりですね」と悔しがった。
◆ 打線を固定できず
打線全体を振り返ると、ポランコが本塁打王を獲得したが、4月終了時点で打率.132と苦しみ、レギュラーでシーズン通して打線を引っ張る選手がいなかったのは痛い。さらに荻野貴司が離脱する時期が長く、昨季盗塁王に輝き、リーグ2位の安打を放った髙部瑛斗がシーズン通して故障で試合に出場できなかった。
「それを言っても仕方がない、試合は必ずやってくるので、なんとかいるメンバーで。調子が悪くてもなんとか試合で結果を出せるような、アウトのなり方もそうですけど、そういうのを考えながら、自分を犠牲にしてまでも塁を進めるとかね」と福浦コーチ。
そのため、打線はシーズン通して、ほぼ打順を固定することができなかった。福浦コーチは打線を固定したい考えを持っているのだろうかーー。
「相性とかもありますし、バッターの調子もあります。今いるベストメンバーで試合に臨むというのが監督の方針だったんじゃないですかね」。
来季、レギュラーとして期待された安田、山口、藤原恭大をはじめ、不動のレギュラーを掴み取れば打線も変わってくる。福浦コーチに来季はどんな打線を作りたいか質問すると、「コンスタントにレギュラーが何人もいて、ポランコも残ってくれて、ホームランも打ってくれてみんな調子が良ければいいと思います」と返ってきた。来季こそ犠打、進塁打といった良い部分を残しつつ、得点圏での勝負強さ、投手陣を助けるような攻撃を増やしたいところだ。
取材・文=岩下雄太