【楽天】パ・ワーストの108併殺打 島内宏明と浅村栄斗に頼りすぎた打線…シーズン総括・野手編
スポーツ報知
- ニュース
2023.10.14(土) 03:00
楽天の今季の低迷ぶりを分析する後編は「野手編」。勝負所での併殺の多さ、主力選手への依存度の高さ、外国人選手の離脱と不振。幾つもの要因が重なった行く末に2年連続Bクラスが待っていた。(特別取材班)
運命の「10・10」。3位・ロッテに勝てばクライマックスシリーズ(CS)進出が決まる最終戦は今季の打線のもろさを象徴するような試合となった。
初回1死満塁。打席には岡島が入った。初球、2球目の甘く入った変化球を仕留め損ね、3球目の外角への厳しいカットボールに手を出し遊ゴロ併殺。流れが一気に相手に傾いた。0―2となった5回1死一塁では村林が二ゴロ併殺。6回1死一塁では岡島が二ゴロ併殺に倒れた。
ネット裏にいたあるパ・リーグのスコアラーは「先制点は野球のセオリー。初回に点が入っていれば楽天が勝っていたよ」と、初回の攻撃で潮目が変わったと見た。続けて、「楽天は勢いに乗せたらとことん点を取るけど序盤をしのげばチャンスがある。一気にいかれるか、流れが止まるか。『ゲッツーを取れば流れが変わるぞ』と、うちの投手たちにはそう話していた」とシーズンを通して併殺の多さが足かせになった点を指摘した。
V逸が決まった9月18日のオリックス戦(3●6、京セラD)でも初回に三振ゲッツーを奪われると、2~5回まで4イニング連続併殺打を記録。108併殺打はパ・ワースト。首脳陣の強行策が裏目に出る場面も目立った。
3、4月に9勝14敗、5月も9勝13敗1分けと大きく負け越し開幕ダッシュに失敗した。昨季、最多安打の島内が絶不調、浅村も打率が2割台前半。頼みの新助っ人、フランコも低空飛行だった。5月終盤には雄平打撃コーチと今江2軍打撃コーチとの配置転換も行われた。
主軸の“冷え込み”に比例していくように、最大13まで膨れ上がった借金を一時は返済できた立役者の登場が来季への明るい話題だろう。これまでファーム暮らしが長かった小郷と村林の成長が一番の収穫だった。
島内に代わり自己最多120試合に出場した小郷が10本塁打、49打点をマーク。一方の村林は6月後半に遊撃のレギュラーに定着すると、7月には8連勝を飾るなど快進撃が始まった。石井監督に「終盤に巻き返せたのは村林がいたから」とまで言わしめた男の初球から積極的にスイングする姿勢が起爆材となった。98試合で打率2割5分6厘、2本塁打、32打点。2人にとっては飛躍のシーズンとなった。
7月に浅村が月間MVPの活躍で復活。島内も徐々に勢いを取り戻し、CS争いができるまでチーム状態は良化した。一方でこの主軸2人が落ち込んだ際には急失速する弱さが露呈したシーズンでもあった。
浅村は「ここが大事という試合でことごとく負けた。それが強いチームとの差」と証言すれば、3年に渡って指揮してきた石井監督も「強いチームになっていくには1試合の集中力をどれだけ143試合で平均値を高められるか。そこが、強いチームと弱いチームの差だと思う」と振り返った。
来季への課題は浅村、島内に頼らない打線づくりがカギとなる。浅村は「強い人間がいない。誰かに頼り過ぎ」とも言った。6月の交流戦で右太もも裏を肉離れしながらもその後もグラウンドに立ち続けた主将の執念を見て一人一人が何を感じたか。意識を変革するところから楽天再生の道がスタートする。
関連ニュース
・【楽天】炭谷銀仁朗が戦力外「びっくりしています」 球団一筋18年の銀次も構想外、現役にこだわる姿勢
・【楽天】今江敏晃新監督、週明けにも誕生へ 5月に1軍打撃コーチに昇格、打線復活の立役者
・【楽天】マイケル・フランコが米国へ帰国「応援は僕にとって大きなエネルギーとなりました」
・【楽天】大誤算だったマー君 士気下げる「痛い」アピールも しかし代わって台頭した投手は…シーズン総括・投手編
・【楽天】石井一久前監督「3位はBクラス」発言の真意説明「僕が叩かれる分には何の問題もない」