ロッテ・和田康士朗「思いつめずに気楽に」盗塁成功率の高さの裏に“メンタル面”での変化
ベースボールキング
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2023.9.23(土) 08:51
ロッテ・和田康士朗 (C) Kyodo News
ロッテの和田康士朗は、今季ここまで18度の盗塁機会で失敗はわずかに1つ。一軍定着した20年以降では、今季が最も高い盗塁成功率だ。その要因について「今年は去年ほど思いつめずに気楽に。去年は代走で出て行って、いかなくちゃいけないという感じだったので、今年はそういうのをなくして、別にいかなくてもいいやという感じで走っています」と教えてくれた。和田は支配下選手登録となった20年以降、代走の切り札として何度もその足でチームの勝利に貢献してきた。21年には代走中心ながら24盗塁をマークし盗塁王にも輝いた。しかし、昨季は11盗塁に終わり、失敗も7度。オールスター明けは1度も盗塁がなかった。
昨季盗塁失敗が目立った原因に「メンタルじゃないですかね」と分析。これまで和田は盗塁の際、スタートが大事になってくると話していたが、昨年の後半は「焦って早くスタートを切らなくちゃと思って、スタートで結構力んじゃってスピードに乗れないというのがあった。スタートも切った瞬間にアウトかもしれないというのが何回もあったので」と吐露。
このオフは「スタートで上体を浮かないようにすることと、力みすぎないようにすること」を意識し、技術向上に励んだ。今季は開幕二軍スタートだったが、ファームでは代走ではなく、先発出場し打席数をしっかりと重ね、走ってもイースタン・リーグトップの13盗塁を記録し、5月2日に一軍に昇格した。
『9番・左翼』でスタメン出場した5月4日の楽天戦で今季初盗塁を含む2盗塁を決めると、『9番・右翼』で出場した5月14日の日本ハム戦でも1試合に2盗塁。ここまでスタメン出場した試合での盗塁数は5盗塁だ。代走で出場した時の盗塁数も11盗塁、1点を争う緊迫した場面、失敗が許されない状況の中で、今季は代走での盗塁失敗が1度もない。(※代走から途中出場し打席に立ち四球を選び出塁し、その後盗塁が1つ)
「一番は早いカウントでいけることが一番だと思うんですけど、それで去年焦ってしまった部分があるので、今は絶対に走らなくちゃいけないというよりかは、いける時にいこうと、今はちょっと楽な気持ちでいます」。
スタメンで出場した時、代走で出場した時も楽な気持ちで盗塁することは変わらないのだろうかーー。「そうですね、焦ってしまうと失敗しているので、大塚さんとも話して今年は無理やり行くのではなくて、いける時にいこうと話しています」。
盗塁ができそうな時に仕掛けるようにしたのは、「監督が代わったというのもありますけど、僕が代走でいったら警戒をすると思うので、どうしても真っ直ぐ、ウエストが増えたりして去年とかもそれで盗塁失敗があった。今年は追い込まれてからいける時にという感じですね」と話す。
相手チームが警戒してくる中で、今季は何度も盗塁を決めている。昨季オールスター明けは0盗塁だったが、今季はオールスター明けに7盗塁。チームの勝ちに繋がる盗塁、走塁が多い。
8月31日の日本ハム戦では4-4の7回に中安を放った山口航輝の代走で登場し、続く岡大海の1ボール2ストライクの4球目156キロツーシームの時に二塁盗塁成功。2ボール2ストライクからロドリゲスが投じた7球目の144キロスライダーを捕手・古川が弾き、ボールが三塁ベンチ横に転々としている間に二塁から一気に決勝のホームイン。
9月18日の西武戦でも、0-1の9回無死一塁で、ライト前安打で出塁したポランコの代走で登場し、無死一塁で角中勝也の1ボールからの2球目に二塁盗塁成功。二死二塁から安田尚憲の浅いライト前ヒットで二塁からヘッドスライディングで生還した。
「盗塁を決めるというよりは、まずはチームのために1点を取るというのが第一なので、しっかり一点取れるような走塁をやっていきたいと思います」。2位、3位の争いが激化する中で、和田の“足”は大きな武器となる。
▼和田康士朗の年度別盗塁数
20年:23盗塁 3盗塁死 成功率.885
21年:24盗塁 5盗塁死 成功率.828
22年:11盗塁 7盗塁死 成功率.611
23年:17盗塁 1盗塁死 成功率.944
取材・文=岩下雄太