ロッテ、バリエーション豊富な勝利への継投策

ベースボールキング

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2023.4.20(木) 11:13

ロッテの選手たち(C)Kyodo News

● 日本ハム 3 - 4 ロッテ ○
<5回戦・エスコンF>

 ロッテが日本ハムに4-3で勝利し、この3連戦の勝ち越しを決めた。

 2回に井上晴哉の今季第1号2ランで先制し、直後に今季先発となった森遼大朗が水野達稀に適時打を浴びたが、3回に9番・平沢大河から上位へと繋がっていく打順のところで藤原恭大の適時二塁打など2点を追加。3点のリードをもらった3回裏、森が3番・清宮幸太郎から始まる打順を、清宮を中飛、野村佑希を外角のストレートで空振り三振、万波中正を二ゴロ、3人で切り抜けたのは大きかった。森は4回と5回も三者凡退に抑え、勝利投手の権利を得る。

 4-1の6回に先頭の清宮に二塁打、続く野村を中飛に打ち取り、球数が81球となったところで、ロッテベンチは右の万波を迎える場面だったが、左の坂本光士郎にスイッチ。坂本は二死一、三塁から谷内亮太に適時打を浴びたが、代打・今川優馬を右飛に仕留めた。

 4-2となった7回は今季初めて勝ちパターンで唐川侑己が投げ1回を無失点に抑える。19日の試合で7回・ペルドモ、8回・澤村拓一、9回・益田の3投手を起用していたため、7回・唐川が投げたということは、8回・ペルドモ、9回・益田で逃げ切るのかなと思ったが、8回・小野郁、9回・澤村の継投で逃げ切った。小野が1点を失ったが、連投中ではなかった益田、ペルドモを起用せずに勝ち切ったのは今後にも繋がる大きな1勝。勝ち切ったことで、今後もこういった継投をやりやすくなったのではないだろうか。

◆ 登板数をしっかり管理する?

 吉井理人監督が投手コーチ時代、大事なシーズン終盤を見据えて、3連投、1週間に4試合以上登板が非常に少なく、1週間の登板数をしっかり管理。2021年の東京五輪明けの後半戦を例に挙げれば、7回・国吉佑樹、8回・佐々木千隼、9回・益田という勝利の方程式だったが、益田が連投の時に9回・国吉、佐々木が連投の時に8回・国吉、唐川が7回・8回を任されるということはあった。

 黒木知宏投手コーチに16日のオリックス戦の試合前練習後、今季もリリーフ陣は基本的に3連投がなく、1週間に3登板までの考えなのか質問すると、「色々考えていますね、選手に負担をかけないようにというところと、勝負どころでいかないところとバランスをとりながら、監督とプランを立ててやっています」と明かした。

 今季を見ていると、4月4日の日本ハム戦は6回・小野、7回・ペルドモ、8回・澤村、9回・益田のリレーで勝利したが、翌5日は0-0の7回に中森俊介、2-1となった8回にペルドモ、9回・益田で逃げ切った。6日は2-0の7回に小野、2-1の8回に坂本、カスティーヨ、6-1となった9回は西村天裕が投げ勝利した。打順の兼ね合いによって14日のオリックス戦では2-0の8回に益田、9回に澤村で逃げ切ることも。

 登板状況、相手打線の兼ね合いを見ながら、いろいろなバリエーションの形でリリーフ陣を継投している。ブルペン陣の層が厚くなったことで、故障や不振で離脱した時にも対応ができ、いろいろな投手がパッと試合終盤の競った場面で起用ができるようになった。誰か1人に依存する、しわ寄せが来るようなこともなさそうだ。

 そうなってくると、1、2点のビハインドや試合展開によっては勝ち試合でも投げる役回りを担っていきそうな小野、坂本といった投手たちの働きがより重要になってくるのではないだろうかーー。

 黒木コーチは「全員ですよ」と一言。「勝ちパターンじゃない、ビハインドとか関係なく、ゲームの展開で流れを止めなきゃいけないなどいろんな役割のピッチャーがいるので、全投手に対する配慮をしないといけないと思っています」と続けた。

 21年、22年にリーグ連覇したオリックスは平野佳寿が基本的に抑えを務めたが、状態によっては阿部翔太、ワゲスパックなど形にこだわらず柔軟にリリーフ陣を運用し、リーグ連覇、日本一を達成した。今季のマリーンズのブルペンの投手運用を見ていると、昨季のオリックスのように柔軟に投手陣を起用しながら、大事な夏場以降を見据えているようにも見える。ファームにも東條大樹、国吉佑樹、鈴木昭汰、小沼健太らが控えている状況。さらに岩下大輝もリリーフで投げており、黒木コーチも「今のところ(リリーフで)調整していますね」(※4月16日オリックス戦試合前練習の取材時点)と話している。開幕直後の春先だから様々な投手を勝ちパターンで起用しているのかを含め、今後もブルペンの運用に注目していく必要がありそうだ。

取材・文=岩下雄太

※お詫びと訂正
・初出時に日本ハム・万波中正選手の名前を誤り、訂正いたしました。大変失礼いたしました。

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