ロッテ・藤原恭大「塁に出る事を意識して頑張りたい」 打率はリーグ2位の.326

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2023.4.18(火) 09:07

ロッテ・藤原恭大(C)Kyodo News

◆ 追い込まれてからの粘り

 「今日をチャンスに変える。」

 ロッテ・藤原恭大は、ここまで今季のチームスローガンを体現するような働きを見せている。昨季終了時点での外野事情は、荻野貴司、盗塁王に輝いた髙部瑛斗の2人がレギュラー当確で、藤原は一塁もこなせる山口航輝、新外国人のグレゴリー・ポランコらと外野のレギュラーポジションの1枠を争う立場だった。髙部が出遅れ、荻野貴司も現在故障で離脱中と、チームが危機的な状況の中、藤原は一時打率リーグトップに躍り出るなど、現在リーグ2位の打率.326をマークする。

 今季に向けて、なるべく無駄な動きをなくすためコンパクトな打撃フォームに改造。現在は「コンパクトに振れたらいいですけど、あまり小さくなりすぎないようにというか、練習しながらやっています」とのこと。

 追い込まれてからも簡単に打ち取られずファウルしたり、四球を選んだりと打席内での粘り強さが出てきた。4月5日の日本ハム戦では0-1の7回一死一塁の第3打席、メネズに対して1ボール1ストライクから9球連続ファウルで粘り、12球目の外寄りの126キロスライダーをピッチャーのグラブを弾く内野安打で出塁。

 4月16日のオリックス戦では、0-0の3回一死一、三塁の第2打席、宮城大弥に対して3ボール2ストライクから3球連続ファウルで粘り、10球目のインコース145キロストレートをレフトへ弾き返す適時打。とても内容のある打席だった。

「追い込まれてから、コンパクトに出せているので、ボールに対していい形で入れているのかなと思います」。


◆ 反対方向への安打、3打席目以降の勝負強さ

 追い込まれてから投手によっては、昨年までも「三振を少なくしたいところと、追い込まれてからはアプローチするというか、フルスイングするのではなくアプローチバッティングに切り替えているところはありますね」と、すり足で打ったり、バットを短くしたりしていた。今季も投手によっては、追い込まれてからすり足で打ったりすることもあるが、考え方としては、同じなのだろうかーー。

 「ちょっとボールの見え方とか、あんまり調子が良くない時とか、ボールの見え方が悪い時はすり足にして、なるべく無駄な動きをなくす意味でやっています」。

 粘りの打撃もそうだが、外角のボールに対して無理に引っ張らず、反対方向への安打が増えた。今季15安打のうち6安打がレフト方向への安打。ちなみに昨季は反対方向への安打は24安打中8安打(三塁へのセーフティバント内野安打、遊撃への内野安打も含む)と、昨季よりも少しではあるがレフトへの安打が多い。

 また、3打席目以降に安打が多いのも藤原の特徴のひとつ。2打席目までの打率が.250(24-6)に対して、3打席目以降の打率は.409(22-9)と跳ね上がる。

 3打席目以降の打率が高い理由について藤原は「特にはないですが…」と話すも、少し考えた後、「メンタル面であんまりやられたと思わず1試合1本という気持ちでやっています」と精神的な部分、そして1試合に1安打打つという考えが高打率に繋がっているのではないかと分析した。


◆ ホームランへの想い

 今季反対方向への打球が増えたとはいえ、藤原の魅力といえば、力強いフルスイング。

 新人時代には「一番獲りたいタイトルはホームラン王」、「振らないとプロの世界ではやっていけないので、小さなバッターではなく、スケールの大きいバッターを目指してやりたいと思いますね」と話せば、4年目の昨春に取材したときには「そこを売りにして入ってきているので、自分のプレースタイルとして変えてはいけない。そこをやり続けたいというか、できる自信もある。そこをなくしたらいいところがなくなる。そこを伸ばしていきたいと思います」と長打への想いを過去に何度も語っている。

 他媒体の報道を見ると長打へのこだわりを持たなくなったようなニュアンスのコメントも出ており、気になったので実際のところどうなのか、改めて今もホームランを打てるバッター、スケールの大きいバッターになりたいという想いを変わらず持っているのか訊いてみた。

 「そうですね、しっかり芯に当たれば飛んでいく。そこは変わらずです」。

 多くは語らないが、基本的な考えとして、やはりホームランを打てるバッター、スケールの大きいバッターになるという目標を今も胸に秘めている。

 「出塁することが一番だと思うので、ヒットで出ることもそうですけど、まずは塁に出る事を意識して頑張りたいと思います」。今はホームランというよりは安打、四球による出塁を重点に置いているが、一軍に慣れたときに、本塁打を多く見られる日がくるだろう。とにかく今は、“1番打者”として出塁を心がけていく。

取材・文=岩下雄太

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