対外試合で5本塁打 ロッテ・山口航輝、フライを打つコツを掴んだ!「一番理想としている形」

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2023.2.24(金) 09:07

ロッテ・山口航輝 [写真=岩下雄太]

 「バックスクリーンをめがけて練習しています。引っ張ったホームランは練習なら入る。引っ張るのは簡単。一番深いバックスクリーンの上の方を狙ってやっています」。

 ロッテの山口航輝は、昨年10月に行われたZOZOマリンスタジアムでの秋季練習中の取材でこのように話し、打撃練習ではセンターから反対方向を中心に打っていた。

 昨年秋にバックスクリーンをめがけて練習していた中で、15日のヤクルトとの練習試合でWBC日本代表の左腕・高橋奎二からバックスクリーン左に捉えた一発、19日に尾仲祐哉(ヤクルト)からバックスクリーンに直撃する本塁打。本人は「あの2本は理想だと思います」と納得のいく本塁打となった。

◆ 1月に本塁打王の自主トレに参加

 このオフは「山川さんにやらないかと去年の今頃に誘っていただいて、シーズンが終わってから自分からお願いしました」と、昨季のパ・リーグ本塁打王で通算3度の本塁打王の実績を持つ西武・山川穂高の自主トレに参加。

 「感覚だけではなくて、練習は理論を持って、何が良くて何が悪いのかというのを分かりながらやること。当たり前のようで難しいことなんですけど、そういうところを学びました」。

 他にも様々なことを学び、そして吸収した。山口にとってとても有意義な時間となった。

 プロ入りからの打撃練習や試合を見ていてると、弾丸ライナーでスタンドへ放り込むことが多かったが、石垣島春季キャンプでの打撃練習では角度のついたフライの打球が多かった。

 「(フライ系の打球は)一番理想としている形ですし、体が上手いこと使えていれば、勝手に打球が上がっている。高いフライを上がっている時は、決して自分で上げにいかないのでいい感じかなと思います」。


◆ フライを打つ感覚に苦労した時期も

 話を今から2年前の11月に遡る。一軍でプロ初本塁打を含む9本塁打を放ったプロ3年目の2021年シーズン終了後に行われたZOZOマリンスタジアムでの秋季練習でフライを打つ練習をしていたが、当時の取材で山口は「角度を気にしながら打っていたので、フライが多くなっていたかもしれないですけど、どうですかね、技術がそこまでないので、フライを打とうと考えすぎずに、来たボールだけで集中したいです」とフライを打つ感覚をモノにするのに苦労していた。それでも、翌22年はチームトップの16本のアーチを描いた。

 昨年の秋季練習もそうだが、今年の石垣島春季キャンプの打撃練習では、綺麗な弧を描いた“これぞホームランアーティスト”というような打球が増えた。特に石垣島の春季練習ではそれを強く感じた。“フライ”を打つコツを掴んだのだろうかーー。

 「この自主トレでそういうあたりが、掴んだんじゃないかなと思います」。

 フライを打つコツを掴んだきっかけについて、「下半身の使い方、体のバランスじゃないかなと思います」と分析する。“下半身の使い方”といえば、プロ1年目から何度も取材で山口が口にしているキーワード。例えばプロ1年目の時は“お尻を落とさないように打つこと”を意識して打っていた。では今はどうなのかーー。下半身の使い方の部分で「右足をしっかり回して下半身の力が伝わるように、横振りにならないように気をつけています」とのことだ。

 フライを打つコツを掴んだ山口は「甘いボールを逃さずにホームランにできていると思うので、沖縄に来て短期間ですけどいいバッティングができているんじゃないかなと思います」と、ここまで対外試合9試合に出場して5本塁打。

 フライだけでなく、試合で本塁打を打つ感覚も「こう打てばいい感じに打てるというのは、調子が良い時はポイントがわかるようになってきたかなと思います」と頼もしい。

 あとは開幕前にシーズンに向けて調子を上げてくるだろう他球団のエース級の先発投手、セットアッパー、クローザーを務めるリリーフといった実力のある投手からも本塁打を打てるかどうか。本人も「そうだと思います」と話す。

 「今はいい状態なので、ここからあと一磨き、二磨きしてシーズンに入っていけたらなと思います」。

 プロ入りから“本塁打にこだわってきた男”は、5年目を迎える春に“フライを打つコツ”、“試合で本塁打を打てるポイント”という技術を手にしつつある。ZOZOマリン移転後、日本人では球団初となるシーズン30本塁打の壁を突破し、チームを勝利に導く一発をたくさん放って欲しい。“山口航輝なら30本打てる”、そう期待したくなるほど、打撃技術、打席での雰囲気を含め、進化している。

取材・文=岩下雄太

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