茶谷、藤岡、友杉…ロッテ、課題のショート カギは打撃力
ベースボールキング
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2023.2.3(金) 10:33
ロッテの茶谷健太[撮影日=2022年10月15日]
近年、ロッテで課題のひとつになっているのが“ショート”。昨季はショートでチーム最多出場がエチェバリアの64試合と、ゴールデン・グラブ賞の有資格者となる71試合以上出場した選手が、パ・リーグの球団では唯一いなかった。2015年のドラフト会議で平沢大河を指名して以降、藤岡裕大、松田進(現在は引退)、福田光輝、小川龍成、育成の速水将大、そして昨年のドラフトで友杉篤輝(天理大)、金田優太(浦和学院高)、勝又琉偉(富士宮東高)、黒川凱星(学法石川高)と、15年以降毎年のようにショートを守る選手を指名する。
ドラフトで新人選手を獲得するだけでなく、19年にはソフトバンクを自由契約となった茶谷健太、20年には楽天を自由契約となった西巻賢二(現DeNA)、21年には外国人のエチェバリアを補強した。藤岡が新人時代の18年と21年に規定打席に到達し、昨季はシーズン最終盤の9月、茶谷が9月2日のオリックス戦以降、全25試合ショートでスタメン出場しシーズンを終えたとはいえ、レギュラーの地位を確立したわけではない。吉井理人新監督が就任した今季、再び熾烈なレギュラー争いが幕を開ける。
これまでの経験、昨季の終盤を考えると、藤岡、茶谷がレギュラーの最有力候補か。藤岡は昨季故障に泣き、プロ入り後自己ワーストの28試合の出場にとどまり、打率.176、1打点と不本意な成績に終わった。シーズン終了後の10月に行われたZOZOマリンスタジアムでの秋季練習では、休憩後の打撃練習で一番乗りでグラウンドに現れバットを振れば、ランニングメニュー終了後、休むことなく一塁側ベンチ前からライト方向に向かってロングティー。さらに特打で振り込んだ後、加藤匠馬(オフに中日にトレード移籍)と共にロングティー。スタッフに動画を撮影してもらい、自身の打撃をチェックし、チェック後に何かを確認するように素振りする姿を何度も見てきた。今季にかける思いは相当強いはずだ。
茶谷は昨季春季キャンプB組スタート、開幕も二軍で迎え、ファームでは本職のショートだけでなくセカンド、ファースト、ライト様々なポジションを守ったが、ワンチャンスを掴みシーズン最終盤は一軍でショートのレギュラーとして出場した。ファームで結果を残して満を持して一軍に昇格し、プロ入り後初の猛打賞にヒーローインタビューに登場するなどアピール。結果を残し始めた中で、新型コロナウイルス陽性判定を受け離脱。復帰後、10試合連続で安打なしという時期もあったが、「自分でわかっているところをコーチの方々に聞いて、いろいろ削っていって元に戻せるように思っています」と試行錯誤の末、9月以降はショートのレギュラーとして出場しており、“与えられたポジション”ではなく、“自らの結果”で居場所を掴んだ。そのポジションを今季、不動のモノにできるか、新監督となった今季、練習試合から再びしっかりとアピールしていく必要がある。
ドラフト2位でプロ入りした友杉篤輝(天理大)が、どこまでレギュラー争いに加われるかも注目だ。「盗塁に関しては1年目からどんどん走れる自信があるので、そこを活かしてやっていきたいと思います」と、大学通算37盗塁をマークし、4年春のリーグ戦(阪神大学野球連盟)では10盗塁を決めた。
打撃でも「広角に打ち分けられるというところが自分の売りだと思います。三振が少ないというのが武器にしてやっている」と自身の武器について語る。2年秋(.406)、4年春(.447)のリーグ戦で首位打者に輝き、首位打者を逃したものの3年秋もリーグ2位の打率.442をマークした。
新人合同自主トレを見るとショートの守備は、捕ってから投げるまでの一連の動作が早い。本人も「握り変えも早ければ早いほどいいことしかないと思うので、状況によってですけど捕ってから早くというのを意識してやっています」と素早く送球することを意識しているとのことだ。とにかく軽快で、走塁、守備に関してはかなり期待が持てる。問題はどこまで打てるかーー。
これは友杉に限らず、ロッテのショートは現状、走塁と守備力があるものの打撃が物足りないという選手が多い。レギュラーを掴み取るには打撃がポイントになってくる。そのほかにも、平沢大河、小川龍成もレギュラー候補として名前が挙がる。今季こそ“打って”、ポジションを勝ち取る選手が出てくることを期待したい。
取材・文=岩下雄太