「優勝効果を持続させるには?」 大学生がオリックスに提案
ベースボールキング
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2022.12.19(月) 18:44
「選手ブックメーカー」を提案する天理大の岡田航之佑さん [写真=北野正樹]
◆ 集まれ!若き才能リーグ連覇と悲願の日本一に輝いたオリックスがこのほど、「大学生によるマーケティングプレゼンテーション」(ファーム来場者調査合同発表会)を開催した。
2014年から関西の大学や自治体と連携。スポーツマネジメントなどを学ぶ学生に向けて授業を行うほか、ファン獲得につながるテーマを与え、大学所在地近くの球場などで開催される二軍戦での来場者調査を基に、若者独自の目線からファンサービスやファン獲得策の提案をしてもらうという取り組みを進めてきた。
9回目となる今回は阪南大学、大阪商業大学、大阪成蹊大学、関西大学、天理大学、桃山学院教育大学、和歌山大学、大阪体育大学の8大学がエントリー。なお、岡村義和・企画事業部ファーム事業グループ長によると過去最多の参加数になったという。
テーマは「オリックスの優勝効果を持続させるには」。昨季のリーグ制覇を今後のファン獲得にどう結びつけるかが狙いだったが、今季もリーグ連覇を果たし、26年ぶりの日本一も達成したことから、来季につながるタイムリーなテーマとなった。
◆ 球団職員も興味「選手ブックメーカー制度」
阪南大学あべのハルカスキャンパス(大阪市阿倍野区)で行われた発表会では、各大学がファン歴や観戦回数に同伴者の人数、お気に入り選手に球団や選手情報の入手手段などのデータを基に様々な提案を実施。
例えば、天理大はファンクラブ(Bs CLUB)の有料会員の割合が58.1%と高かった点に注目。Bs CLUBのポイントを有効活用することができる「選手ブックメーカー制度」の新設を提案した。
これは自分の持っているポイントを出場選手に投票し、選手の活躍度に応じてポイントが還ってくるという仕組み。ポイントはBs CLUB内でグッズや食品に交換するため、「スポーツベッティング」と呼ばれるオンライン上でのスポーツへの“賭け”には該当しないと言い、企画事業部兼広報部プロジェクトマネジャー(PM)の花木聡さんも「ポイントをグッズと交換し、現金化はできないから実現は可能。これくらい面白いことがやれればいい」と興味を示していた。
発表した体育学部体育学科(稲葉研究室)3年・岡田航之佑さんはサッカー部の主将。「サッカーワールドカップのブックメーカーを参考にした。Bs CLUBの新たな使い道として、遊び感覚で試合に参加することができ、ギャンブル的要素も楽しめることを考えた」と言う。
このほか、大体大は1995年・1996年の優勝をファン歴が5年未満という約25%が記憶しているというデータに着目し、優勝を経験していない新規のファンに優勝に関する記憶を刷り込むことが有効であると主張。いわゆる“優勝レガシー”を持続させる方法として、YouTubeのショート動画の活用を提案する。
また、大商大は年間を通じて観戦時の勝率が高かった人に景品を贈呈する「勝利を呼び込め!勝利のオリ姫・オリ達は誰だ!?選手権」を開催することで、増加したファンをリピーター化するための方法を発表した。
前出の花木PMは「我々の弱みは、ファンの数が巨人や阪神、ソフトバンクなどに比べ、まだまだ劣勢だということ。他球団より比率が高いコアなファンをコア化する一方で、ファンでない人をファンにするという両面で考えている」とコメント。
そのうえで、「抽象的なテーマだったが、良いアイデアをたくさんいただいたので、来季はもっと優勝効果を取り込みたい」と講評した。
取材・文=北野正樹(きたの・まさき)