試合序盤での盗塁が多かったロッテ・髙部 イニング別では1回の15盗塁が最多

ベースボールキング

  • ニュース

2022.10.24(月) 11:00

ロッテ・髙部 (C)Kyodo News

 昨季ファームで9月・14試合で10盗塁を決めるなど28盗塁をマークしてファームの盗塁王に輝いたロッテの髙部瑛斗が、今季は一軍の舞台で44盗塁を記録し自身初の盗塁王に輝いた。ちなみに球団ではファームで盗塁王を獲得した翌年に、一軍で盗塁王となったのは初の快挙。

 髙部は開幕前の3月の取材で盗塁するうえで、一軍と二軍の違いについて「多少は感じますけど、そこまで変わりはないんじゃないかなと思います」と話したように、開幕してからはファームでプレーしていたときと変わらず積極的に次の塁を狙った。

 3.4月に7盗塁をマークすると、5月に8盗塁。今季14盗塁目を決めた5月24日の広島戦で当時盗塁トップを走っていた松本剛(日本ハム)に並ぶと、交流戦で12球団トップの8盗塁をマーク。6月は月間10盗塁で、盗塁ランキングで争っていた松本を引き離した。オールスター以降は、8月が6盗塁、9.10月も9盗塁と順調に盗塁数を伸ばしていった。

▼ 月別盗塁数
3.4月:7盗塁
5月:8盗塁
6月:10盗塁
7月:4盗塁
8月:6盗塁
9.10月:9盗塁


◆ イニング別盗塁数

 髙部のイニング別盗塁を見ると1回の15盗塁が最も多く、3回の8盗塁、8回の6盗塁と試合序盤と試合終盤にかけての盗塁が多い。攻撃に勢いをつけるために初回の盗塁が多いのは理解ができるが、失敗が許されない試合終盤、勝っている場面で盗塁を失敗すれば相手に流れが傾く可能性があり、負けている場面であればアウトカウントが1つ増え、チャンスの機会を潰してしまう。どちらにしてもリスクしかない。

 髙部は6月に行ったオンライン取材で「序盤と後半というので、序盤はなんとか勝負するというところだと思いますし、後半の8回というのはどうしても1点が欲しいときに先に進めたいと思うので、その結果前半と後半で分かれているんじゃないかなと思います」と自己分析した。特に試合後半は失敗してはいけない場面が多く、緊張やプレッシャーは「もちろんありますけど、覚悟を決めて、腹をくくって決めています」と語った。

▼ 髙部のイニング別盗塁数
1回:15盗塁
2回:2盗塁
3回:8盗塁
4回:1盗塁
5回:4盗塁
6回:4盗塁
7回:3盗塁
8回:6盗塁
9回:1盗塁
10回:0盗塁
11回:0盗塁
12回:0盗塁


◆ 早いカウントでの仕掛け

 注目すべきはシーズンを重ねるにつれて、早いカウントでの盗塁数が増えたこと。

 オールスター前は4球目、5球目に盗塁することも多かったが、オールスター明けの15盗塁中12盗塁は3球目以内(盗塁を決めたときに打席に立っていた打者)に決めたもの。

 9月17日の日本ハム戦、18日の日本ハム戦はいずれも1球目に盗塁を成功させている。ちなみに、オールスター前は2試合連続で初球に盗塁を決めたということはなかった。オールスター前に比べて、早いカウントで盗塁を決める場面、仕掛けるケースが増えたことがわかる。

 髙部は9月に行ったオンライン取材で「後ろのバッターも待ってくれていることも多いので、少しでも早く走ることによって後ろのバッターの負担を減らしたい気持ちもあって、そういうのを意識してやっています」とその理由を説明した。

【オールスター前までの29盗塁】
91試合:盗塁成功:29 失敗:6
1球目:4盗塁
2球目:10盗塁
3球目:3盗塁
4球目:7盗塁
5球目:4盗塁
※3球目に投げる前に、牽制で誘い出されるも二塁盗塁セーフも1盗塁

【オールスター以降の15盗塁】
46試合:盗塁成功:15 失敗:4
1球目:4盗塁
2球目:4盗塁
3球目:4盗塁
4球目:1盗塁
8球目:1盗塁
※1球目後に牽制で飛び出してしまうも二塁盗塁セーフも1盗塁

 チームメイトの和田康士朗(ロッテ)、荻野貴司(ロッテ)、藤原恭大(ロッテ)をはじめ、パ・リーグの韋駄天たちと切磋琢磨し、来季以降も盗塁王タイトル獲得に期待したい。

取材・文=岩下雄太

記事提供:

ベースボールキング