ロッテ、“常勝軍団”へ必要な投打の柱

ベースボールキング

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2022.10.9(日) 10:30

ロッテの安田尚憲(左)と佐々木朗希(右)

◆ エースの存在

 2年連続2位に入るも、今季はリーグ5位に終わったロッテ。井口資仁監督が辞任し、来季は吉井理人新監督のもと1974年以来となる勝率1位でのリーグ優勝を目指す。

 ここ数年ずっと感じていたことだが、今季も日本人の絶対的な“エース”と“4番打者”、投打の軸となる選手が不在だった。リーグ連覇したオリックスを見ると投手では山本由伸、打者では吉田正尚と生え抜きの柱となる選手がいる。リーグ2位となったソフトバンクにしても千賀滉大、柳田悠岐と投打の軸がチームを支えている。もちろん、リーグ制覇するためには投打の柱だけでなく、周りの選手たちの活躍も必要だ。

 ロッテはというと、石川歩、美馬学、エンニー・ロメロ、小島和哉、佐々木朗希など先発投手の名前は出てくる。そのほかにも二木康太、本前郁也、河村説人、種市篤暉、佐藤奨真、森遼大朗など、先発候補は他球団にも負けないぐらい充実はしてきた。ただ、シーズンを通して勝ちが計算できる、1年間先発ローテーションを守る、さらには絶対に負けられない試合で勝利する“絶対的なエース”が今季も出てこなかった。直近5年の最多勝利投手の名前を見れば、理解ができる。

▼ 直近5年のチーム最多勝利投手
2018年
ボルシンガー 13勝2敗 防3.06

2019年
石川 歩 8勝5敗 防3.64
種市篤暉 8勝2敗 防3.24

2020年
美馬学 10勝4敗 防3.95

2021年
小島和哉 10勝4敗 防3.76

2022年
美馬学 10勝6敗 防2.91

 毎年のようにチームの勝ち頭がかわり、絶対的な存在がいない。今季は4月10日のオリックス戦で完全試合を達成した佐々木朗希が前半戦、6勝1敗、防御率1.48と圧倒的な成績を残したが、オールスター明けは間隔を空けながらの登板が多く、オールスター明けでいえば、美馬学が7試合・44回を投げ5勝0敗、防御率0.82とエース級の働きだった。結果だけ見れば、前半戦は佐々木朗希、後半戦は美馬が先発陣を引っ張った形になったが、リーグ制覇するためには、ここ一番の試合で山本や千賀のように勝ちきれる絶対的エースは必要。

 そういった意味でも来季4年目を迎える佐々木朗希が、今季開幕から一軍のローテーションで投げた経験をどのように活かしていくか注目していきたい。完全試合したオリックス戦、続く日本ハム戦でも8回を無安打投球と、持っている能力は誰もが認めるところ。コンディショニングを整えて、シーズン通して前半戦のような投球ができれば、間違いなく先発の軸になれる存在だ。そこに、石川、美馬、小島、種市らが続いていければ、かなり強力な先発陣になる。個人的には種市に、佐々木とともにローテーションを引っ張る存在になることを強く期待している。トミー・ジョン手術明け復帰後、初のシーズンとなった今季はファームでの登板が多かったが、ワクワクするようなストレートを投げられれば、間違いなくエースに近い存在になっているはずだ。


◆ 絶対的な4番打者

 打線に関しては、荻野貴司、髙部瑛斗という12球団でもトップクラスのいやらしさを誇る1、2番がいたなかで、出塁してもクリーンナップで走者を還すことができなかった。

 今季は長打という部分で長年チームを支えてきたレアード、マーティンの打撃不振が大きく、チーム本塁打トップが16本の山口航輝、打点は中村奨吾の68がトップというのは寂しい。“4番打者”に限らず、“長打の打てる日本人打者”というのがロッテの長年の課題になっている。

 打撃の好不調の波がありながらも、伸び盛りのプロ4年目・山口が二桁の壁を破り、16本のアーチを描いたことは来季に繋がっていくのではないだろうか。9月22日のオリックス戦では1試合3ホーマー、8打点の大暴れ。シーズン最終戦となった10月2日のソフトバンク戦でも、0-2の6回に逆転3ランを放った。山口には一発で、チームの流れ、雰囲気を変える長打という大きな武器がある。6月に行ったオンライン取材で対応力について「まだまだうまくいっているとは思いませんし、うまくできていればもっと打てているはずですし、もっと試合に出ているのかなと思います」と話したように、安定感が出てくれば全ての数字において今季以上のモノを出してくれるはずだ。

 シーズン最終盤に4番で出場した安田尚憲は、シーズン規定打席にあと3打席、二桁本塁打にあと1本届かなかったが、打率.263、9本塁打、47打点という成績を残した。7月まではわずかに2本塁打、打点も15だったが、8月以降は7本塁打、32打点。8月以降だけに限れば、打点はチームトップだ。トータルの数字を見ると4番打者として物足りなさは残ったものの、8月以降の打撃をシーズン通してできれば、100打点も夢ではない。昨季も春先一時、リーグトップの打点を挙げていたように、山口とともに課題はいかにシーズン通して調子の波を落とさずできるかだ。

 さらに井上晴哉も若手に負けじと、9月は月間打率.302、4本塁打、19打点と復調の兆しを見せてシーズンを終えた。井上、安田、山口の3人がドッシリと中軸を担えれば、得点力は間違いなくアップするだろう。

 ロッテは先発、リリーフ、野手も含めてだが、ある程度一軍で戦えるだけの力をもった選手は増えてきた。軸となるエースと4番打者がしっかり出てくれば、浮き沈みの激しいチームから脱却もできるのではないだろうか。言葉にすれば簡単だが、それが何年もできていないから昨年まではなんとか総合力で2年連続2位となったものの、今季は5位に終わった。安定した強さ、2025年までに“常勝軍団”となるためにも投打の軸が必要だ。

文=岩下雄太

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