リーグ制覇を目指すロッテ 後半戦、期待したい背番号16の復活
ベースボールキング
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2022.7.29(金) 09:47
ロッテ・種市篤暉[撮影者=岩下雄太]※写真は2020年
ロッテは首位・ソフトバンクと2ゲーム差の4位で前半戦を終え、29日からいよいよリーグ戦が再開する。4位とはいえリーグ制覇も狙える位置につけているロッテ。現在一軍でプレーしている選手の活躍もそうだが、ファームで調整しているマーティン、福田秀平、平沢大河、藤原恭大、田中靖洋、唐川侑己、国吉佑樹、東妻勇輔、岩下大輝、河村説人、種市篤暉といった一軍で経験のある選手たちの突き上げがあれば、さらにチームは活気がつくはずだ。
そのなかでも後半戦、特に期待したいのが種市。プロ3年目の19年4月29日の楽天戦でプロ初勝利を挙げると、「ひとつの目標、通過点だと思うので、今満足してしまったら負けてしまうと思う。去年(2018年)みたいになってしまう。日々成長していけるように考えてやっていこうかなと思います」と初勝利の余韻に浸ることなく、次の登板を見据え、最終的にはチームトップタイの8勝をマーク。
背番号を63から16に変更した20年は、7月25日の西武戦で「9回のマウンドに上がったのは、おそらく高校時代もなかったと思うので、そこの部分に関して自信にはなりました」とプロ入り初完封勝利を飾った。“エース不在”だったロッテ先発陣において、期待の若手から脱却し、“エースへの階段”を登る投手の一人だったが、続く8月1日の楽天戦後に一軍登録を抹消され、同年9月14日に横浜市内の病院でトミー・ジョン手術を受けた。
長いリハビリを経て22年4月13日の巨人戦で復帰を果たすと、5月20日のヤクルト戦で復帰後初のイニングまたぎとなる2イニングを投げ、6月4日にZOZOマリンスタジアムで行われた日本海オセアンリーグ選抜チームとの練習試合で復帰後初先発を果たし4回を投げ1失点に抑えた。6月12日のDeNA戦で復帰後はじめて5イニングを投げ、中6日で先発した6月19日ヤクルト戦も5回・85球、1失点。
6月19日登板後の取材で、今現在一軍の打者に投げるために技術面、投球面で必要だと感じていることについて「まっすぐの強さとアベレージ。ここは今一番欲しいところなので、もっともっと精度を上げていきたいです」と課題点を口にした。
取材後以降の登板で、種市の“まっすぐの強さ”を注目してファームの映像を見ていると、6月28日の日本ハム戦の0-1の2回一死走者なしで阪口樂に投じた初球のアウトコース148キロストレートは、捕手・松川虎生が構えたミットに吸い込まれる素晴らしい球だった。続く7月12日の日本ハム戦でも0-0の3回二死走者なしから万波中正に投じた初球の144キロのインコースストレートはワクワクするような力強い球を投げていた。
気になる点があるとすれば、イニング、球数が増えるとスピードがやや落ちている傾向があること。同日の日本ハム戦で復帰後最長となる7イニング目のマウンドにあがったが、梅林にこの日投じた85球目の139キロストレートをレフトオーバーの二塁打、中島卓也にも88球目の140キロのストレートを適時二塁打された。
ただ試合で出た自身の課題を、次の登板までに修正してくるのが種市だ。一軍で大活躍した19年もそうだった。7月12日の日本ハム戦以降、6イニング以上投げていないが、きっちりと原因を探り修正してくるはずなので特に心配する必要はないだろう。
種市が一軍のマウンドで躍動する姿を今か今かと楽しみにしているマリーンズファンは多い。振り返ればCS進出へ絶対に負けられない19年9月22日の日本ハム戦、8回・123球・無失点に抑え、自身8勝目を手にするとともにチームを勝利に導いた。翌日の取材で「連敗していたので、昨日負けたら終わりだと思っていた。やることは変わらないと思って、自分のできることに集中して投げられたと思います」と振り返ってもらったときに頼もしさを感じたのを今でも覚えている。
とにかくマリーンズは上位に離されず食らいついていき、シーズン最終盤を迎えたい。そして、チームが優勝争いを繰り広げるシーズン終盤の大事な時期に種市が復活となれば、間違いなくチームに勢いがつくはずだ。シーズンが終わったときに、種市の復活勝利、74年以来の勝率1位でのリーグ優勝の両方を達成できていることを期待したい。
文=岩下雄太