ロッテ、打線よりも気になる東條の起用法

ベースボールキング

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2022.7.15(金) 10:36

ロッテ・東條大樹

○ 西武 2 - 1 ロッテ ●
<13回戦・ベルーナドーム>

 ロッテは5回に佐藤都志也の本塁打で先制しながら、その裏先発・二木康太が2点を失い逆転を許すと、打線は終盤に何度も好機を作るも得点を挙げられず1-2で敗れた。2カード連続負け越しで、6月27日以来の借金生活となった。

 西武との3連戦は3試合とも満塁の好機を作ったが、1度も得点することができなかった。初戦に関しては勝利したため、あまり目立たなかったが、2戦目、3戦目はあそこで1本が出ていればという展開だったこともあり、後味の悪さだけが残った。マリーンズファンのフラストレーションは溜まり、西武との3連戦、2戦目、3戦目の試合中、試合後にはSNS上で厳しい声も多かった。過ぎてしまったことを嘆いていても、満塁の場面が戻ってくるわけではない。開幕からの打線の状態を見ていると、時に大量得点を奪う試合もあるだろうが、基本的には打線が3、4点を奪い、そのリードを投手陣が守りきって勝利していくというのが今のマリーンズの形だろう。

 1点のリードを“守り勝つ”ために大事になってくるのがリリーフ陣。特に夏場以降、リリーフ陣の出来不出来が、リーグ優勝に直結してくるだけに、運用は非常に重要になってくる。

 そのなかで気になるのが、ここ最近の東條大樹の起用法だ。5月4日の西武戦以降は主に勝ち試合の7回を務めるが、7月に入ってからは1、2点ビハインドの7回に登板するケースが増えている。7月は12試合中7試合に登板しているが、そのうち4試合がビハインドでのマウンド。1日の楽天戦、5日の日本ハム戦は結果的に勝利したから良かったが、目先の勝利にこだわるあまり、大事な終盤戦に疲労が残らないか心配だ。もちろん、1週間に4度の登板は今季1度、3連投は1度もなく大事に起用されているという事実もある。

 東條の登板数が増えている一方で、西野勇士が交流戦明け登板数が非常に少なくなっている。西野は右肘のトミー・ジョン手術明けということもあり、開幕から連投は1度もなく、大事に起用されているが、交流戦明けは6月19日の日本ハム戦、6月24日のオリックス戦、7月6日の日本ハム戦の3試合のみ。14日の西武戦のような1点ビハインドの場面であれば、西野に託しても良かったのではないだろうかーー。開幕から勝ちパターンを務めながら、ここ最近はビハインドでの登板も増えてきた。また、ビハインドゲームでのロングができる投手がいないため、ロングリリーフ要因になっているのかを含めて西野が今後どう起用されるのか注目だ。

新型コロナウイルス感染拡大により取材制限があり直接取材ができないため、一方的に投手起用について述べるのはフェアではないことは理解しているし、非常に申し訳ないと思っている。ただ東條、西野の起用について気になっているのは確かだ。


◆ 昨季の勝利の方程式

 ここで去年、勝利の方程式と呼ばれる投手たちがビハインドゲームで登板することがあったのか振り返っていきたい。昨季は9回打ち切りだったこと関係しているのか、チームに勢いをつけるために、1点、2点を追う展開で投げさせるということがほとんどなかった。守護神の益田直也は、ビハインドゲームでの登板は1度もなし。

 7回、8回を投げた“セットアッパー”を見ても、ビハインドでの登板はあったが、そう多くはない。唐川侑己は、7回、8回の“勝ちパターン”の役割を担った開幕から一軍登録抹消となった6月17日までを見ると、ビハインドでの登板は開幕4連敗中だった3月31日の楽天戦、0-2の7回に登板した1試合のみ。ホールドが記録されない場面での登板も、4月3日の日本ハム戦(6-2の7回に登板)、6月8日のヤクルト戦(7-3の8回に登板)の2試合だけだった。

 佐々木千隼は、初めて“勝利の方程式”で投げた6月3日の中日戦以降、負けている展開で投げたのは6月6日のDeNA戦(1-3の7回に登板)、6月24日のソフトバンク戦(2-3の8回に登板)、9月3日の日本ハム戦(4-5の8回に登板)の3試合。勝ち試合の8回を任された後半戦に限っていえば、わずかに1試合しかない。

 シーズン途中にトレードでDeNAから加入し、東京五輪明けの後半戦から“7回の男”に定着した国吉佑樹も、ビハインドでの登板は9月3日の日本ハム戦(4-5の7回に登板)、9月24日の西武戦(4-5の7回に登板)の2試合だけで、4点リードの場面での登板も6-2の7回に登板した9月12日の楽天戦の1試合のみだった。

 昨年と比較しても意味がないことはわかっているし、開幕直後のリリーフ陣の状況を踏まえれば、ここまで立て直した手腕は見事だ。リリーフ陣の層が厚くなってきたからこそ、リーグ優勝、この先の戦いを見据え、今以上に登板管理、運用していくことを期待したい。

文=岩下雄太

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