ライナーとフライの違い・判断基準はある? プレー動画とともに解説

パ・リーグ インサイト

2025.12.15(月) 11:00

北海道日本ハムファイターズ・万波中正選手 ©パーソル パ・リーグTV
北海道日本ハムファイターズ・万波中正選手 ©パーソル パ・リーグTV

 野球観戦をしていると、「ライナー性の当たり」や「高く上がったフライ」といった表現を耳にすることがある。どちらも「野手がダイレクトキャッチをした」ということを示すが、「鋭いフライ」や「高く上がったライナー」はあるのか? これらの判断基準は? 今回は「ライナー」と「フライ」についてプレー動画とともに解説する。

そもそも「ライナー」「フライ」とは?

 ライナーとフライは、打球の高さや速度に注目して使われる用語で、いずれも明確な基準はない。

 まず、ライナーは地面に近い弾道で、ボールが弧を描かず、直線的に飛ぶ打球のことを指す。打球速度が速いことが特徴的で、守備側からすると反応する時間はほとんどない。そのため、野手の間を抜けて安打となる確率が高い一方で、野手のポジショニングが良い場合は、うまく反応して捕球できた場合はアウトとなる。

 対して、フライはボールが高く空中に打ち上げられ、弧を描く弾道で滞空時間が長い。内野手の近くに高く上がる場合は「内野フライ」、外野エリアで高く上がった場合は「外野フライ」といわれる。滞空時間が長いために、守備は捕球しやすくアウトになることが多い。しかし、飛距離によっては本塁打になることもある打球だ。

 このように両者の違いは、打球の角度と弾道の速さにある。しかし、明確な基準はないため、「ハーフライナー」や「ライナー性のフライ」などと解説されることもあり、主観的な判断で区別されているのが現状だ。なお「ハーフライナー」は言葉の通り、ライナーとフライの中間の弾道で、ライナーほど直線的ではなく、フライほど高く打ち上がらない打球のことを指している。

 ここからは、動画でライナーとフライの違いを紹介する。

アウトにも本塁打にも……! さまざまなライナーを紹介

 先にも説明したように、ライナーは安打となる確率が高い一方で、野手のポジショニングが良い場合や、うまく反応した場合にはアウトになることも多い。

 一つ目に紹介するのは、千葉ロッテ・藤岡裕大選手の頭上を襲ったライナー。4月29日のオリックス対千葉ロッテ戦で、オリックス・麦谷祐介選手が打った鋭いライナーは、藤岡選手の頭上を抜けて安打となるかと思われたが、見事にジャンプしてキャッチ。守備位置と捕球タイミングが良く、アウトとなったライナーの例だ。

 次に、投手が素早く反応し、強烈なライナーを一瞬でアウトにした場面。4月26日の東北楽天対福岡ソフトバンク戦。東北楽天・宗山塁選手は、マウンド方向に低い弾道のライナーを放つも、福岡ソフトバンク・大山凌投手が反射的に出したグラブに打球を収めた。抜けていれば出塁の可能性もあったが、投手が反応して捕球し、ピッチャーライナーとなった。

 一方で、鋭い弾丸ライナーは、本塁打となることもある。5月1日の福岡ソフトバンク対北海道日本ハム戦。7回表、2対2の同点の場面で、北海道日本ハム・万波中正選手は、レフト方向へ弾丸ライナーを放った。打球速度も速く、あっという間にレフトスタンドへ。貴重な勝ち越し本塁打となった。

「インフィールドフライ」が適用されるのはいつ? 知っておきたいフライの種類

 まずはアウトになった外野フライから。5月14日の福岡ソフトバンク対埼玉西武戦。今季初登板となった埼玉西武・武内夏暉投手は中盤も好投を続ける。5回裏、2死2塁のピンチを迎えるも、福岡ソフトバンク・栗原陵矢選手をライトフライに打ち取って切り抜けた。ライナーの動画と見比べると、ボールが高く打ち上げられ、滞空時間が長いことがわかる。

 また、フライは簡単にアウトになると思われがちだが、屋外球場では風や薄暮の影響で打球を見失い、落球することもある。2023年8月13日、ZOZOマリンスタジアムにて行われた千葉ロッテ対埼玉西武戦で、ショート後方に打ち上げられたフライが、風にあおられて落球。7度の「三井ゴールデン・グラブ賞」受賞を誇る埼玉西武・源田壮亮選手でさえも捕球が難しい様子がうかがえる。

 フライのなかには、審判によって宣告される「インフィールドフライ」もある。

 インフィールドフライは、内野フライで守備側が有利になりすぎないためのルールだ。無死または1死、1、2塁か満塁の状況で内野にフライが上がった際に、審判がインフィールドフライを宣告することで、野手が捕球しても落球しても打者はアウトとなる。ダブルプレーなどを狙って、野手が故意に落球することを防ぐことを目的としている。

 ライナーとフライ、それぞれの特徴や違いを見た。今後の観戦では、ぜひ打球の軌道や速度にも注目してもらいたい。

文・パ・リーグインサイト編集部

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