【台湾プロ野球だより】元NPB審判も加入。台湾プロ野球が今季大きく変わったところとは?

駒田英(パ・リーグ インサイト)

©CPBL
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外国人支配下登録を目指し、日本人選手も奮闘中

 日本人選手も4チームに5人在籍している。このうち、開幕一軍入りを果たしたのは、昨季のホールド王、ドラフト指名を経て入団し、台湾人扱いでプレーする髙塩将樹(統一)のみだった。

 富邦には一昨年、楽天モンキーズから8月末で解雇も、台湾の社会人野球チームを経て昨季途中入団、二軍でアピールし支配下登録を勝ち取り、一軍5試合に登板した元BCリーグ信濃の鈴木駿輔と、「育成外国人」契約で入団した元ENEOSの左腕、阿部雄大がいる。

 台鋼には昨季入団、8月に一軍に昇格し、4試合に登板した元横浜DeNA、東北楽天の櫻井周斗が、そして、楽天モンキーズには、昨季はBCリーグの群馬でプレー、最多勝、投手MVPに輝き、3月に「育成外国人」として入団した榊原元稀がいる。

 4月14日の報道によると、富邦は二軍に降格したアーロン・ウィルカーソンに代わる昇格候補として、二軍で3試合12回、防御率1.50の鈴木を一軍に帯同させているといい、鈴木の支配下登録、一軍登板は近そうだ。

 台鋼の櫻井は2連勝、富邦の阿部や楽天の榊原も「育成外国人」契約ながら、ここまで質の高いパフォーマンスをみせている。彼らはまずファームでアピールし、最終登録期限の8月31日までに外国人支配下登録の「4枠」入りを目指すこととなる。

 台湾では、元NPBの「助っ人」たちも数多くプレーしている。中でも、かつて中日、オリックスでプレー、台湾では2年連続HR王のスティーブン・モヤ(台鋼)、台湾6シーズン目、昨季は13勝をあげ、ゴールデン・グラブ賞に輝いた元広島のブレイディン・ヘーゲンズ(台鋼)は、リーグを代表する助っ人だ。

 台鋼にはこのほか、元ヤクルトのデービッド・ブキャナンが、味全には元巨人、千葉ロッテのC.C.メルセデスと元日本ハムのジョン・ガントが、楽天には元オリックスのタイラー・エップラー、そして、富邦には前述した元阪神のウィルカーソン、中信にはこちらも元阪神のニック・ネルソンが在籍している。

ピッチクロック改正、拡大ベース導入で盗塁増、元NPB木内氏加入で審判技術の向上期待

3月31日、台湾プロ野球で初の球審をつとめた木内九二生氏 ©CPBL
3月31日、台湾プロ野球で初の球審をつとめた木内九二生氏 ©CPBL

 今季も、いくつかのルール改正が行われた。このうち、主なものは「ピッチクロックの時間制限短縮」と「拡大ベースの導入」だ。

 台湾プロ野球では2024年から本格的に導入されたピッチクロックだが、今季から時間制限がさらに短縮され、投手は走者なし時は18秒(従来20秒)以内、走者あり時は23秒(従来25秒)以内に投球動作に入らなければいけない、と定められた。また、牽制やプレートを外す動作も2回(従来は3回)までとなった。

 また、MLBやWBCで使用されている拡大サイズ(45.7cm四方)のベースが導入された。開幕から30試合の平均試合時間は2時間54分と、昨季の2時間56分と大差ないが、盗塁数は40個と、昨季の28個に比べ大きく増加している。

 審判員の技術向上に向けた取り組みも形となった。元NPBの木内九二生審判の一軍審判員加入だ。木内氏は1998年にセ・リーグ審判部に入局、2002年から2025年まで一軍公式戦1834試合に出場し、オールスターや日本シリーズでもジャッジした豊かなキャリアをもつ名審判だ。

 2012年のアジアシリーズで、CPBLの張展栄審判長らと交流をもった木内氏は、その後もNPBアンパイアスクールの講師として、CPBLの審判員とたびたび親交を深めていくなか、台湾側からの要望もあり、台湾で活動したいという思いを強めていった。

 CPBLの蔡其昌コミッショナーも、台湾と日本の審判の交流深化、専門技術に関する交流促進を希望し、昨年11月に正式に木内氏と契約を締結した。黎明期を除き、木内氏のような豊かなキャリアをもつ元NPB審判員が台湾でジャッジすることは異例といえる。

 木内氏は3月28日、開幕戦(台北ドーム)で二塁塁審をつとめ、台湾プロ野球デビューを果たすと、3月31日、台湾中部、台中市の台中インターコンチネンタル球場で開催された味全対中信兄弟で初の球審をつとめた。

2026年シーズンは波乱含みのスタート 元NPBのあの選手に「復活」の兆し

4月14日の中信兄弟戦で3号3ランを放った王柏融(台鋼)。打撃好調で表情も明るい。後方はモヤ ©CPBL
4月14日の中信兄弟戦で3号3ランを放った王柏融(台鋼)。打撃好調で表情も明るい。後方はモヤ ©CPBL

 開幕から2週間あまり、各チームまだ10試合から12試合消化した段階だが、昨季、プレーオフ進出を逃した味全、台鋼、富邦がAクラス。ポストシーズン、台湾シリーズを戦った楽天、統一、中信がBクラスと、波乱含みのスタートとなっている。中でも、2024年、2025年と2年連続で70勝をあげ、年間勝率1位となった中信は、11試合消化時点で、チーム史上ワーストタイの2勝9敗、首位から5ゲーム差の最下位に沈んでいる。先発投手が先取点を許すケースが多い上、ブルペンの主力に離脱者が多く、防御率はリーグワースト。打者も得点圏で一打が出ず、苦しいチーム状況だが、ここからの巻き返しに期待したい。

 開幕以来、呉念庭(台鋼)、陳冠宇(楽天)、張奕(富邦)ら、WBC代表の面々はいずれも好調な滑り出しとなったが、特に日本の皆さんにお伝えしたいのが、元埼玉西武の郭俊麟(統一)と、元日本ハムの王柏融(台鋼)の活躍だ。

 昨季は0勝5敗、防御率9.62と不振だった郭俊麟は4月1日、今季初登板の富邦戦で5回無失点と好投し、2024年7月以来の勝ち投手に。12日は負け投手となったが、8回3失点と試合をつくった。

 また、昨季は打率.239、4本塁打、OPS.623と過去ワーストと成績に留まった王柏融は、今季ここまで打率こそ.275ながら、本塁打(3本)、打点(13打点)はいずれもリーグ2位。打席での佇まいも自信を感じさせ、「大王」の完全復活に期待がかかる。

 台湾プロ野球は、日本からも有料のプラットフォーム「CPBLTV」で中継を視聴できるほか、CPBL公式YouTubeでは、各試合の長めのダイジェスト映像が視聴できる。台湾プロ野球に関心をもった方は、まずはダイジェストからチェックしてみてほしい。数カ月後、気がついたら現地で観戦していた、ということになるかもしれない。

文・駒田 英(情報は4月14日時点のもの)

記事提供:駒田英(パ・リーグ インサイト)

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