3月中のノーヒット・ノーランは、2リーグ制導入以降では初めての快挙
北海道日本ハムの細野晴希投手が、3月31日の試合でノーヒット・ノーランを達成した。NPBにおいて3月にノーヒット・ノーランが記録されたのは、1940年3月18日の亀田忠氏以来史上2度目。1950年の2リーグ制導入以降では初めてという歴史的快挙となっている。
4月までにノーヒット・ノーランおよび完全試合を達成した投手も、平成以降では細野選手を除いてわずか4名と非常に数が少ない。今回は、該当する4投手が同シーズンに残した成績を確認し、序盤戦での偉業が「吉兆」となっていることについて紹介していきたい。(※表における太字のシーズンがノーヒット・ノーラン達成年)
柴田保光氏

柴田保光氏は1978年のドラフト2位で西武(現・埼玉西武)に入団。ライオンズでは主力投手への定着は果たせなかったが、1984年に日本ハム(現・北海道日本ハム)に移籍したことが転機に。移籍2年目の1985年から2年連続で2桁勝利を挙げるなど、日本ハムでの11年間で76勝を記録。新天地で才能を開花させ、先発陣の主力として息の長い活躍を見せた。
1990年4月25日には出した走者は一人のみ、27人で試合を終える準完全試合という圧巻の投球で平成初となるノーヒット・ノーランを達成。同年はキャリアで唯一の200投球回超えを果たし、12勝、防御率3.11といずれもキャリアで2番目に優れた数字を記録。シーズン序盤の快挙にとどまらず、15年のプロ生活の中でも最高クラスのシーズンを送ってみせた。
メルビン・バンチ氏

バンチ氏は2000年に中日に入団し、同年4月7日に来日2度目の登板でノーヒット・ノーランという快挙を達成。その後も先発陣の中心的存在の一人としてローテーションを支え、14勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得。防御率2.98もリーグ4位の数字と来日1年目から見事な投球を披露し、大記録を弾みにして特大のインパクトを残すシーズンを過ごした。
続く2001年も引き続き先発陣の一角として活躍し、25試合に登板して10勝8敗、防御率3.38と2年連続の2桁勝利をマーク。来日3年目の2002年も17試合に登板した時点で7勝7敗、防御率3.28と一定の成績を残していたが、不整脈によってチーム離脱を余儀なくされた。キャリアハイとなった2000年の活躍をはじめ、中日先発陣を支えた名助っ人と言えよう。
前田健太投手

前田健太投手は2006年の高校生ドラフト1巡目で広島に入団。高卒2年目の2008年途中から先発ローテーションに定着し、4年目の2010年には最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の投手三冠に加えて沢村賞にも輝いた。翌2011年にも2年連続で最多奪三振のタイトルを受賞するなど、若くして球界屈指の先発投手へと飛躍を遂げた。
2012年4月6日には122球の熱投でノーヒット・ノーランの快挙を達成。同年は29試合で14勝を挙げたことに加えて、3年連続の200イニング超えを果たしたうえで防御率1.53とキャリアベストの数字を残し、2年ぶり2度目となる最優秀防御率のタイトルも獲得。シーズン序盤の快挙達成のみならず、年間成績の面でも非常に充実したシーズンを送った。
翌年以降も広島のエースとして安定した投球を続け、2015年には自身2度目の沢村賞を受賞。MLBでの活躍を経て、2026年から東北楽天に加入した実績十分の右腕にとっても、2012年のシーズンは20年にわたるプロ生活で屈指の好投を見せた年となった。
佐々木朗希投手

佐々木朗希投手は2019年のドラフト1位で千葉ロッテに入団。高卒2年目の2021年に11試合に登板して防御率2.27と大器の片鱗を見せると、翌2022年4月10日にはNPBでは28年ぶりとなる完全試合を達成。20歳5カ月での完全試合達成は史上最年少であり、NPB最多タイの1試合19奪三振にも到達するという、まさに記録ずくめの試合となった。
同年は故障離脱の影響もあって規定投球回には到達しなかったものの、自己最多の129.1イニングを投げて9勝4敗、防御率2.02、奪三振率12.04、K/BB7.52と圧倒的な投球を展開。その後も故障に悩まされながらも安定感抜群の投球を続け、自身初の2桁勝利を記録した2024年オフに海を渡ってMLBへ活躍の場を移している。
佐々木投手は実働4年間全てで防御率2.35以下、全ての年で投球回を上回る奪三振数を記録と指標面では抜群の数字を記録。その中でも、自己最多の登板数と投球回を記録した2022年の投球は、現時点のキャリアにおいて特に優れたシーズンだったと考えられる。
4名の先人たちと同様に、細野投手も今シーズンを充実の1年にできるか
記録達成時点におけるNPBにおけるキャリアが浅かったバンチ氏と佐々木投手は、偉業達成をきっかけにブレイクを果たしている。また、既に実績十分だった柴田氏と前田投手も、記録を達成した年はキャリアの中でも特に好調なシーズンを過ごした。こうした先人たちの軌跡を鑑みるに、細野投手が今季ブレイクを果たす可能性も大いにあると言えそうだ。
シーズン序盤の記録達成を弾みにして好成績を残した4名の投手と同様に、細野投手も2026年を大きな飛躍の年とできるか。2リーグ制導入後では初となる3月中のノーヒット・ノーランという快挙を成し遂げた24歳の若き左腕の投球に、今後はより一層の注目が集まることだろう。
文・望月遼太
