「左を抑えるのが僕の仕事だとずっと思っている」。
ロッテ・坂本光士郎は取材のたびに、左打者を封じることを口にしてきた。16日の日本ハム戦では、今季初めて勝ち試合の7回に登板し、左打者3人を完璧に抑え込んだ。
代打・ポランコの適時打で勝ち越した直後の4-3の7回にマウンドに上がった坂本は、前の打席に木村優人から本塁打を放っている先頭の矢澤宏太を1ボール2ストライクから外角の128キロスライダーで空振り三振。続く田宮裕涼も3ボール2ストライクからインコースの131キロスライダーで空振り三振で簡単に2アウトを取ると、最後は清宮幸太郎を1ボール1ストライクからの3球目のスライダーで遊ゴロ。1イニングを3人で片付けた。
◆ 勝負の1年
23年に51試合に登板した坂本だが、昨季はわずか8試合の登板にとどまり、「一言で言ったら悔しいシーズンでしたし、その悔しさを来年(2026年)同じことをしてはダメだし、変えていかなきゃいけないところを変えていかないといけない」と唇を噛んだ。
昨年の秋から体を柔らかくする、連動という部分にフォーカスをあててトレーニングを積んできた。投球面では、都城春季キャンプのライブBPでは井上広大の1セット目の5球目に、「(球種が)多ければ多い方がいいと思いますし、精度というところもブルペンの中でいい感じで、投げられているので投げています」とこれまであまり投げてこなかったチェンジアップを試投。とにかく変化を求めて、オフから動いてきた。
実戦が始まってからは、対外試合・オープン戦に5試合に登板したが、3月4日の楽天とのオープン戦を最後にファームで過ごした。
ファームでは「基本的にはそこの柔軟性、連動というところはずっとやっていました」と、変わらず上半身と下半身の連動性を意識して取り組んできた。
昨季はストレート、スライダーの投球割合が多かったことを反省し、今季に向けてスプリット、チェンジアップの精度を向上させてきたが、「今まで真っ直ぐ、スライダー、カットが基本だったんですけど、そこはそれだけじゃ通用しませんし、今までも投げていた球ですけど、使っていかないと左バッターを抑えられないと思う」とスプリット、チェンジアップも積極的に投げた。
チェンジアップに関しては、「投げているんですけど、バッターと対戦している中で、スプリットがいい感じに落ちていて空振りが取れている」と話し、「できるだけ早く結果を残さないといけない。自分の中でスプリットが良いなと思ったので、チェンジアップをなるべく少なくしてスプリットにしています」と、チェンジアップよりも現状ではスプリットの方が優先順位を高くして投げていくつもり。
ファームで4試合・5回を投げ、防御率0.00に抑えると、4月7日に今季初昇格。今季初登板は同日のオリックス戦、1-3の8回二死一、二塁と走者を背負った場面での登板となったが、「スタートとしてはすごく良かったかなと思います」と、若月健矢に内野安打を打たれたものの、紅林弘太郎をストレートで右飛に打ち取り、スコアボードに0を入れ、ベンチに戻った。
紅林に1ストライクから投じた2球目の空振りは151キロを計測するなど、ストレートが力強かった。「今年初めてくらいの150だったんですけど、気持ちと体とがしっかり合致してスピードも出ていましたし、球質的にも自分が求めているところにだいぶ近づいているので、継続してやっていこうと思います」
この日の登板では“左打者”との対戦はなかったが、「左にどれだけスプリットを使えるのかが勝負になってくる。早く対戦したいと思います」と、“左打者”との対戦を心待ちにした。
今季2度目の登板となった4月14日の日本ハム戦、1-4の8回一死走者なしの場面で、今季初めて左打者と対戦し、西川遥輝を1ボール2ストライクから4球目の150キロのストレートで二ゴロに仕留め、続く田宮裕涼を1ボール2ストライクから外角の142キロのカットボールで空振り三振に仕留めた。
今季3試合目のマウンドとなった16日の日本ハム戦で今季初の勝ち試合で登板し、左打者3人を相手に1回を無失点に抑えた。左打者に対してはここまで5打数0安打、被打率.000と完璧に封じ込む。「中継ぎでやっている以上は、7回、8回を任されるピッチャーになりたいと思ってやっています」。強い覚悟を持って、昨年秋から過ごしてきた。安定した投球を披露し、もう1度一軍で居場所を掴んでみせる。
取材・文=岩下雄太