日本一に輝いたオリックスと、シーズン最終戦までし烈なペナント争いを演じ、M1から惜しくも優勝を逃した福岡ソフトバンク。本記事では投手編、野手編に分け、福岡ソフトバンクの2022シーズンを振り返っていく。
防御率はリーグ3位も、制球難が目立った投手陣
今季のチーム防御率は3.07(リーグ3位)とまずまずの成績で、被安打数は1028とリーグ最少。一方、与四球は474とリーグワーストの数字で、全体的に制球難から崩れる場面が目立った。
千賀滉大・東浜巨が先発陣をけん引
先発陣では、来季MLBでプレーするエース・千賀滉大投手の活躍が目立った。11勝、防御率1.94、156奪三振はいずれもチームトップの数字。「パーソル CS パ」ファイナルステージでもチーム唯一の白星を挙げた。プロ10年目を迎えた東浜巨投手も10勝を挙げ、5年ぶりの2桁勝利をマーク。千賀投手とともに先発陣をけん引した。
新戦力・大関友久とベテラン・和田毅の両左腕も活躍
今季、急遽開幕ローテに抜擢された3年目左腕・大関友久投手も、前半戦で6勝を挙げる大活躍。8月上旬に精巣がんの疑いによる手術で離脱したものの、わずか1カ月半でスピード復帰し、シーズン終盤はリリーフとして貢献した。チーム最年長のベテラン左腕・和田毅投手も、7勝4敗、防御率2.78と衰え知らずの投球で先発ローテーションを守った。
シーズン後半は板東湧梧がアピール
また、昨季リリーフとして活躍した板東湧梧投手は、今季は先発として3勝を挙げた。8月19日の北海道日本ハム戦で今季初先発初勝利を挙げると、9月17日には山本由伸投手を相手に8回2失点の力投。9月24日の千葉ロッテ戦では、8回120球5安打1四球でプロ初の完封勝利を挙げた。
石川柊太、杉山一樹、レイは期待に応えられず
一方、ローテの柱として期待された石川柊太投手は、与四球率3.76と制球に苦しみ、7勝10敗、防御率3.37といまひとつの結果に終わる。杉山一樹投手は開幕3戦目に先発するスタートを切ったが、与四球率5.53と課題の制球を克服できず、1勝止まり。昨シーズン途中に退団し、今季再加入したレイ投手も、5勝6敗と期待に応えられなかった。
今季は総じて先発陣が勝ち星を積み上げられなかった中で、ブルペンがリードを守りきり勝利をつかみ取った試合が多かった。次に、リリーフ投手の活躍を振り返る。
又吉克樹、森唯斗が離脱も、藤井皓哉が大活躍
今季は、中日から又吉克樹投手がFAで新加入。開幕から18試合連続無失点と、セットアッパーとして抜群の安定感を披露した。守護神・森唯斗投手も、開幕から6登板連続でセーブを記録。開幕8連勝に大きく貢献した。
しかし、森投手は4月以降セーブ失敗が続き、再調整のため登録を抹消。さらに又吉投手も7月8日の北海道日本ハム戦で右足甲を骨折し、戦線を離脱した。この窮地を救ったのが、元広島で、今季独立リーグから育成選手として新加入した藤井皓哉投手だった。
松本裕樹、藤井皓哉、モイネロの勝利の方程式が機能。嘉弥真新也も完全復活
藤井投手は今季55試合に登板して22ホールド、防御率1.12とまさに大車輪の活躍を見せた。150km/hを超えるストレートと、大きく曲がり落ちる魔球「フォースラ」を武器に、シーズン後半はセットアッパーに定着。アクシデントで開幕ローテ入りを逃した松本裕樹投手、新守護神・モイネロ投手とともに勝利の方程式を担い、優勝争いの大きな原動力になった。
昨季は納得のいく結果を残せなかった左キラー・嘉弥真新也投手も、防御率0.99、チームトップの28ホールドと抜群の安定感を披露。津森宥紀投手、泉圭輔投手、甲斐野央投手ら若鷹もさまざまな局面でマウンドに上がり、ブルペンを支えた。
シーズン最終盤は救援陣が涙。来季は先発陣の再建が課題
しかし、優勝へのマジックナンバーを「1」として迎えた10月1日の埼玉西武戦では、同点の11回裏に藤井投手がサヨナラ2ランを被弾。翌日の千葉ロッテ戦では泉投手が逆転3ランを浴び、まさかのM1からリーグ優勝を逃す結果に。今季チームを支えてきたブルペン陣が、最後の最後...
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