打率に加えて生産性も大きく成長。躍進を遂げる水野達稀の好調の理由にデータで迫る

パ・リーグ インサイト 望月遼太

北海道日本ハムファイターズ・水野達稀選手【写真:球団提供】
北海道日本ハムファイターズ・水野達稀選手【写真:球団提供】

一時は打率ランキングの2位に入るなど、今季は打撃面で大躍進を遂げている

 北海道日本ハムの水野達稀選手が、現時点でリーグ5位の打率.292を記録している。守備の負担が大きい遊撃手を務めながら、一時は打率ランキング2位に入るなどハイレベルな打撃成績を残し、上位争いを繰り広げるチームに大きなアドバンテージをもたらしている。

 今回は、水野選手がこれまで残してきた成績や指標をもとにした、打者としての特性について紹介。打撃開眼の兆しを見せている好打の遊撃手の強みや特徴を見ていくとともに、今シーズンに好成績を残している理由についても考察していきたい。(※記録は7月16日の試合終了時点)

2025年にIsoDが向上を見せたが……

 水野選手がプロ入り後に記録してきた、年度別の指標は下記の通り。

北海道日本ハムファイターズ・水野達稀選手 年度別指標 ©PLM
北海道日本ハムファイターズ・水野達稀選手 年度別指標 ©PLM

 プロ1年目の2022年と翌2023年は2年続けて打率が1割台に沈み、OPSも2022年が.334、2023年が.481と指標の面でも苦戦を強いられた。2022年は21試合、2023年は31試合と出場機会も限られていたが、2024年は打率.220、2025年は打率.247と年々打率を向上させ、それに伴い出場試合数も2024年から2年連続で100試合を超えている。

 打率のみならず、出塁率と長打率に関しても毎シーズン向上し続けており、OPSもプロ1年目から現在に至るまで5シーズン連続で上昇している。現時点でリーグトップとなる6本の三塁打を放っており、今季のOPS.788はリーグ7位と、リーグ上位の生産性を持つ打者へと成長を遂げている点は特筆すべき要素と言えよう。

 各種の指標に目を向けると、通算打率.242に対して通算出塁率は.290と3割に届いておらず、打率と出塁率の差を示す「IsoD」という指標もキャリア平均で.048とやや低い。ボールをじっくりと見るというよりは、積極的に仕掛けていく打撃スタイルの持ち主であることが、これらの数字からも読み取れる。

 とりわけ、一軍で初めて100試合以上に出場した2024年には、359打席で選んだ四球が13個、IsoDは.031と先述した傾向が顕著に示されていた。そんな中で、2025年には出塁率が.317とキャリアで初めて3割を上回り、IsoDも.070と平均的な水準まで向上するなど、従来に比べて四球を選ぶ割合が増加していた。

 しかし、2026年には打率.292に対して出塁率.336、IsoDは.044と再び積極的な打撃スタイルに戻っている。以前と同じ打撃スタイルに戻したうえで着実に打撃成績を向上させている点にも、水野選手の試行錯誤の跡と向上心の高さがうかがえるところだ。

 また、四球を三振で割って求める、選球眼やストライクゾーンの管理能力を示す「BB/K」という指標も、2022年から2024年まで3年連続で1割台と低かった。だが、2025年と2026年は2年続けて.304という数字を記録し、キャリア初期に比べて改善傾向を示している。

 2025年にいったんIsoDが向上を見せ、2026年には積極的な打撃スタイルに戻したという経緯がありながら、BB/Kの数字は両シーズンとも同水準を維持している。この事実が、水野選手のストライクゾーンの管理能力の向上を表しているという見方もできそうだ。

積極性が成績向上につながっている?

 ここからは、本塁打を除くインプレーとなった打球が安打になった割合を示す、「BABIP」という指標について見ていきたい。BABIPは運に左右される側面が多い指標であると考えられており、一般的な基準値は.300であるとされている。

 水野選手のBABIPは、2022年が.200、2023年が.250、2024年が.269と、キャリア初期の3シーズンにおいてはいずれも大きく基準値を下回る数字を記録していた。水野選手が同時期に打撃面で苦戦を強いられていた理由の一端が、これらの数字からも読み取れる。

 2025年にはBABIPが.299と基準値に近い値まで改善され、それに伴って打率も向上。そして、今季のBABIPは.337と基準値を大きく上回る数値へと飛躍的に上昇しており、これまでのキャリアで運に恵まれなかったぶんの揺り戻しが訪れているとも考えられる。

 BABIPはフェアゾーンに飛んだ打球が安打になる確率を意味するだけに、積極的な打撃スタイルでボールに食らいつく水野選手にとっては大きな意味を持つ数字となる。それだけに、今季の水野選手がこれまで以上に本領を発揮するシーズンを送っているのも道理と言えよう。

遊撃手として攻撃面で大きなプラスを生み出し、今後もチームをけん引できるか

 打率に加えてIsoDも改善を見せた昨季を経て、好球必打の姿勢に戻しつつOPSや長打率を大きく向上させている今季の水野選手。BABIPの上昇が自身の打撃スタイルとの相乗効果を生み出していることもあって、自身の特性を存分に生かしていると言えよう。

 水野選手は今後も好成績を残し続け、正遊撃手としてチームに打撃面で大きなプラスをもたらす活躍を続けられるか。上位を争うファイターズの中心選手へと成長を遂げつつある水野選手の成績は、後半戦におけるチームの浮沈を左右する要素の一つとなってきそうだ。

記事提供:パ・リーグ インサイト

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