

2014年ドラフト2位で福岡ソフトバンクに入団した栗原陵矢選手。プロ12年目の今季は5月から4番に定着すると、月間11本塁打をマークする大活躍。7月1日には早くもキャリアハイを更新する22号を放ち、現時点で37本塁打、110打点とリーグ2冠をほぼ手中に収めている。
球団の左打者では2005年の松中信彦氏以来となるシーズン40本塁打も目前だ。中距離打者のイメージが強い栗原選手だが、今季はなぜここまでホームランを量産できるようになったのだろうか。
フライ割合の上昇

まず長打力向上のために重要なのは、角度をつけた打球を増やすことだ。もちろん内野手の頭上に打ち上げるようなポップフライでは長打にならないので、外野フライを増やす必要がある。
栗原選手はもともと高い外野フライ割合を記録していたが、今季は52.7%とリーグ平均に10ポイント以上の差をつけている。パ・リーグの規定打席到達者で50%を超えているのは、栗原選手とチームメートの近藤健介選手(51.5%)の2人のみだ。
スイングの強さも、安定感も向上


本塁打を増やすには、単に外野フライを増やすだけでなく、より遠くへ飛ばす必要がある。この表では、外野フライの平均飛距離を打球方向とストレート・変化球の区分で示した。
まずストレートでは、右に引っ張った打球が昨季と比べて大きく伸びている点に注目したい。そして変化球ではすべての方向で飛距離が向上し、全体の平均96.1mはストレートとほぼ同じ数値になっている。今季の栗原選手のスイングは、球威に負けない強さと、変化に崩されない安定感を両立できているのだ。
センター、レフト方向の一発が増加

実際に放った本塁打の方向を見てみると、引っ張り方向以外のホームランは2024、25年と2本ずつにとどまっていたが、今季は14本と大幅に増加。レフト方向への一発が出たのは、2021年に4本を放って以来5シーズンぶりだった。
栗原選手自身はホームラン増加の要因について、交流戦で優秀選手賞を受賞した際に「いいスイング軌道であったり、いい体の使い方ができているというのが一番だと思う」と語っている。逆方向を意識して打撃スタイルを変えたというわけではなく、これまで培ってきたスイングの質をさらに高めたことで、広角に大きな打球を放てるようになったのだろう。
ボール球でもお構いなし

最後にもう1つ、「いいスイング」を象徴するデータを紹介したい。ボール球を打ったホームランはここまで7本を数え、千葉ロッテ・山口航輝選手、北海道日本ハム・レイエス選手を抑えてリーグトップに立っている。ゾーンから外れた投球を軽々とスタンドに運ぶ姿は、まさしくスラッガーと呼ぶにふさわしい。
8月には不振で打順を下げた試合もあったものの、4番に戻った8月16日以降は一気に復調を見せた栗原選手。2024、25年に2年連続で9・10月度の月間MVPを獲得し、リーグ制覇に貢献した「ミスター・セプテンバー」が、今年も勝負の秋に猛打を振るう。
※文章、表中の数字はすべて2026年9月14日終了時点
文・データスタジアム