
日本ハムの宮西尚生投手(40)が20日、自ら記す連載「勇往邁進(ゆうおうまいしん)」で現役への思いをつづった。今回が2025年シーズン最終回。葛藤の中、導き出した理想の引き際とは―。プロ19年目の来季へファイターズで果たしたい任務を激白した。
来季もファイターズでプレーさせていただくこととなりました。今季は、開幕から1軍で順調にスタートが切れたと思います。しかし、登板を重ねていくうちにフォームのバランスを崩し、1年間通して結果を残すことができませんでした。6月には40歳を迎え、コンディションの維持が課題に挙げられます。技術や能力はいい状態を保てているので、自分なりの調整法やケアの形をいち早く導き出せるようにしていきたいと思っています。
来季に向けて気持ちを新たにする一方で、シーズン終盤はなかなか1軍に上がることができず、現役に対しての葛藤もありました。引き際の考え方は人それぞれで、いいイメージのまま余力を残して次のステージに進みたい、という選手もいます。しかし自分は少し違い、現状の力でどれだけ今を戦えるかが重要だと思っています。「過去のイメージを崩したくない」といった考えは全くありません。
物心ついた頃から野球を始め、何度も手術を経験し、色々な方の支えで40歳まで現役を続けることができました。長く野球ができることは、決して当たり前ではありません。ユニホームを脱ぐ時は「ボールさえ握ることができない」といった状態までやり切ることが野球に対する礼儀だと考えます。もちろん、球団との契約が終わればそこまでです。チャンスがある限り、最後の最後まで泥くさく、腕を振り続けることが自分の野球スタイルだと確信しています。
また、後輩たちにも最後まで投げ続ける姿勢を見せたいです。昨季は400ホールド、今季は900登板と、若手やリリーフの目標となる数字を残せたと思っています。ファイターズでの最後の任務は、踏ん張り時にさしかかった中堅選手の希望になることだと考えています。自分も経験しましたが、30歳を過ぎた頃から体力やパフォーマンスが落ち、精神的にもきつくなってきます。そこで40歳の自分の背中を見て、「もうひと踏ん張り頑張ろう」と、思ってもらえるような存在でありたいと思います。
今季のチームは、優勝まであと一歩でした。新庄監督には4年間で、優勝争いができるチームの土台をつくっていただきました。あとは、選手一人一人の意識の問題です。これまで、ファイターズのいいときも悪い時も見てきた中で、今のチームの雰囲気は優勝した12年や16年に間違いなく近づいています。細かいミスを減らし、意識をどれだけ研ぎ澄ましていくかが優勝へのカギだと感じています。
今年もたくさんのご声援、そしてスポーツ報知でのコラムを読んでいただき、ありがとうございました。来季こそリーグ優勝、日本一を勝ち取れるように邁進していきます。来年もどうぞよろしくお願いします。(宮西 尚生)
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