母国のWBC優勝に続けるか。エスピノーザとマチャド、ベネズエラコンビの進化に迫る

パ・リーグ インサイト 望月遼太

オリックス・バファローズ エスピノーザ投手(左)マチャド投手(右)【写真:球団提供】
オリックス・バファローズ エスピノーザ投手(左)マチャド投手(右)【写真:球団提供】

WBCで初優勝を飾ったベネズエラ出身の右腕2名が、オリックス投手陣を支える

「2026 WORLD BASEBALL CLASSIC」で、悲願の初優勝を飾ったベネズエラ代表。2026年のパ・リーグにおいても、ベネズエラ出身のマチャド投手とエスピノーザ投手が、揃ってオリックス投手陣を支える存在となっている。

 今回は、両投手がこれまでNPBと米球界で記録した各種の指標に基づく、両投手の進化について紹介。ブルペンの中軸としてWBC優勝に大きく貢献したマチャド投手と、防御率と勝利数の2冠王も視野に入るエスピノーザ投手が好投を見せる理由に迫っていきたい。(※成績は4月21日の試合終了時点)

制球力の劇的な向上に加えて、運に恵まれてこなかった部分にも改善の兆し

 エスピノーザ投手がこれまでNPB記録してきた、年度別の各種指標は下記の通り。

エスピノーザ投手 NPB年度別投手指標 ©PLM
エスピノーザ投手 NPB年度別投手指標 ©PLM

 来日1年目の2024年から2年連続で防御率2点台と、先発陣の一角として安定した投球を続けている。奪三振率に目を向けると、2024年の7.61という数字に対して2025年には同8.26と向上を見せていたが、2026年には7.77と1年目に近い数字に戻っている。

 その一方で、過去2年間の与四球率はいずれも3.20台とまずまずの水準にとどまっていたのに対し、2026年の与四球率は2.05と劇的な改善を見せている。それに伴い、与四球を奪三振で割って求める、制球力を示す指標の一つである「K/BB」も今季は3.80と大きく上昇を遂げ、一般的に優秀とされる3.50という水準を上回っている。

 与四球の減少に伴い、1イニングごとに出した走者の平均数を示す「WHIP」も0.91という抜群の数字を記録。また、2025年までは被BABIPが2年続けて.315以上と基準値を上回っていたが、今季の被BABIPは.250と大きく改善。運に恵まれなかった過去2年間の揺り戻しとも言える状況を追い風に、被打率.192、防御率0.41と本来の実力を存分に発揮している。

米球界時代の豪快な投球から、制球力を向上させたモデルチェンジが奏功

 続いて、エスピノーザ投手が米球界時代に各カテゴリーで記録してきた各種の指標を確認したい。

エスピノーザ投手 MLB・マイナー年度別投手指標 ©PLM
エスピノーザ投手 MLB・マイナー年度別投手指標 ©PLM

 2015年から2023年までの全てのカテゴリーで8.00以上の奪三振率を記録し、2021年にはA+クラスで12.90、AAクラスで10.80と抜群の数字を記録。翌2022年にもAAクラスで10.96、AAAクラスで8.31と好成績を残し、MLBでも奪三振率9.33と投球回を上回る奪三振数を記録してみせた。

 その一方で、与四球率に関しては2021年以降は全てのカテゴリーで4点台以上と、大ケガを境に制球面に課題を抱えるかたちとなっていた。その影響もあって、高い奪三振率を誇りながらK/BBはやや控えめな水準にとどまっており、防御率の面でも安定感を欠いていた。

 米球界時代のエスピノーザ投手は、奪三振が多い一方で与四球も多いという、豪快な投球スタイルが持ち味だった。しかし、NPBへの移籍後は奪三振率がやや低下した一方で制球力が大きく改善され、投球の安定感が飛躍的に向上。キャリアベストの与四球率を記録している今季において、これまで以上の好成績を残している点も示唆的な要素といえよう。

奪三振が多く制球力も一定以上と理想的

 マチャド投手がこれまでNPBで記録した、各種の指標は下記の通り。

マチャド投手 NPB年度別投手指標 ©PLM
マチャド投手 NPB年度別投手指標 ©PLM

 2024年は19ホールドポイント23セーブ、2025年は12ホールドポイント28セーブと、リリーフ陣の柱としてフル回転の活躍を披露。防御率も2年続けて2.30以下と一定以上の安定感も備えており、守護神として昨季のAクラス入りにも大きく貢献を果たした。

 奪三振率は2024年が9.79、2025年が11.06、そして2026年が10.50と、全てのシーズンで投球回を上回る数字を記録している。それに加えて、与四球率に関しても2024年が3.04、2025年が2.60、そしてキャリア通算の与四球率も2.83と、一定以上の制球力を備えている点もポイントだ。

 K/BBも2025年が4.25、2026年が3.50と2年続けて優秀とされる水準を超えており、奪三振が多く与四球が少ないという、セイバーメトリクスにおける理想的な資質を備えている。2026年は開幕6試合で防御率0.00と序盤戦においてはまさに完璧な投球を見せており、過去2年間を上回るほどの好成績を残してくれそうな気配を漂わせている。

MLBでもリリーフとして活躍を見せたが、奪三振率は来日後に大きく向上

 最後に、マチャド投手がMLB時代に残した各種の指標について紹介しよう。

マチャド投手 MLB年度別投手指標 ©PLM
マチャド投手 MLB年度別投手指標 ©PLM

 MLBでも2021年から3年連続で40試合以上に登板し、2021年から2年連続で防御率3点台を記録するなど、世界最高峰の舞台でもその実力を証明していた。NPBでは奪三振率の高さを特徴とするマチャド投手だが、MLB時代での通算奪三振率は7.26、マイナー通算での奪三振率も8.21と、来日後に比べるとやや控えめな水準にとどまっていた。

 その一方で、MLB時代の与四球率は2021年から3年続けて3点台以下と、並み居る強打者たちに対しても一定の制球力を発揮。さらに、来日前年の2023年には与四球率2.34と大きく数字を改善させており、K/BBも3.31と、MLB時代のキャリアベストにあたる数字を記録していた。

 2023年の防御率は5.22と過去2年に比べて大きく悪化していたものの、同年の被BABIPは過去2年間と比較して.040近く上昇しており、運に恵まれなかったことが示唆されている。来日前年に投球内容が改善を見せていたことが、日本での活躍につながった可能性は大いにありそうだ。

真逆に近い投球スタイルの転換に成功した両投手が、チームを優勝へと導くか

 エスピノーザ投手は来日を機に制球力を大きく改善させ、投球の安定感を飛躍的に高めた。一方、マチャド投手は来日後に奪三振率を大きく向上させ、剛腕クローザーとして打者をねじ伏せる投球を展開している。真逆に近い投球スタイルの転換を遂げた両投手が、揃ってモデルチェンジを成功させて日本球界で成功を収めている点は興味深い要素と言えよう。

 WBCで優勝を遂げた母国の代表に続き、ベネズエラ出身の両投手はオリックスをリーグの頂点に導くことができるか。WBCでもセットアッパーとして躍動したマチャド投手と、投手として脂の乗った時期を迎えつつある28歳のエスピノーザ投手。オリックスが誇るベネズエラコンビの投球は、今後のシーズンにおいても要注目のトピックとなってきそうだ。

文・望月遼太

記事提供:パ・リーグ インサイト 望月遼太

特集
特集
パ・リーグ.com ニュース

母国のWBC優勝に続けるか。エスピノーザとマチャド、ベネズエラコンビの進化に迫る