通算9本塁打のベテランがシーズン7発の活躍

オリックスひと筋でプロ12年目を迎えた西野真弘選手。近年は出場機会が減少していたが、2024年には89試合で打率.300と若手に負けない存在感を発揮。そして野手最年長として迎えた昨季は打率.287に加え、チーム5位タイの7本塁打を記録した。24年までの10年間では通算9本塁打だっただけに、大きなインパクトを残すシーズンとなった。
リーグ上位の長打力を発揮

昨季の西野選手のバッティングをさらに詳しく見ていこう。長打率.443は、昨季パ・リーグで200打席以上に立った64選手の中で6位の数字だ。また、より純粋な長打力を評価するための指標として、長打率から打率を引いた「ISO」があるが、こちらも同11位となる.157をマーク。単に今までより長打が増えたというだけでなく、リーグ全体で見ても上位レベルの長打力を発揮していた。
メジャーで重視されているとある指標に注目

長打力が向上した要因として、よく取り上げられるのはフライ打球の増加だ。実際、昨季のフライ割合は45.0%と、リーグ平均には及ばないものの前年から大幅に増加している。ただ、パワーヒッターではない打者が単純にフライを増やすだけでは、ポップフライなど飛距離の小さい凡打が増えてしまう可能性もあり、西野選手もその懸念に当てはまりそうに思える。

そこで注目したいのが、最近メジャーリーグで重要視されている「プル・エア(Pull Air)」だ。これは全打球を方向と性質で分類した中での、「引っ張り」かつ「ゴロ以外(フライ・ライナー)」の打球を指す。プル・エアは長打や本塁打になる確率が高いため、この打球の多さでバッティングの質を評価することがトレンドになっている。そして昨季の西野選手はプル・エア割合が17.5%と、リーグ平均の16.4%を上回っていた。つまり、単にフライが増えたのではなく、引っ張って強い打球を多く打てるようになったということだ。
なお、打率.300をマークした 24年のプル・エア割合も14.2%と、西野選手のキャリアの中では高い数値だった。本塁打の数だけを比べると25年にいきなり打撃スタイルが変わったように見えるが、実際の変化は24年から始まっていた、とも考えられる。
長打が増えても、優れたバットコントロールを維持

ここまでは長打力に関するデータを紹介してきた。基本的に、長打を増やそうと思えば強振することが増え、空振りも多くなりやすい。しかし昨季の西野選手は三振割合6.7%、コンタクト率90.5%と、いずれもパ・リーグの200打席以上の選手では最も優れた数字を残しており、2024年までのデータと比べても大きな変化は見られなかった。バットコントロールという元々の強みは失わずに、打球を強くすることに成功していたのだ。
契約更改後には「この年でもまだまだ伸びしろがあると、自分に期待できるシーズンになった」と語った西野選手。2026年は尊敬する平野恵一氏から背番号5を引き継いで10年目という節目のシーズンでもある。 今季も“師匠”のようにはつらつとしたプレーを貫き、3年ぶりとなるリーグ優勝への道を切り拓く。
※文章、表中の数字はすべて2025年シーズン終了時点
文・データスタジアム
