高い攻撃力で投手陣の脆弱性をカバー…データで今季を振り返る【埼玉西武編】

2018年11月23日 07:40 Full-Count
埼玉西武の得点と失点の移動平均グラフ※写真提供:Full-Count

5失点以上しても勝率4割の圧倒的な得点力

 圧倒的な得点力で10年ぶりにパ・リーグを制した埼玉西武ライオンズ。今年のペナントレースにおける得点と失点の移動平均を使って、チームがペナントレースのどこでどのような波に乗れたかを検証してみます。移動平均とは、大きく変動する時系列データの大まかな傾向を読み取るための統計指標です。 グラフでは9試合ごとの得点と失点の移動平均の推移を折れ線で示し、得点>失点の期間はレッドゾーン失点>得点の期間はブルーゾーン として表しています。 開幕からとにかく打線が機能し、シーズン792得点(1試合平均5.54点)という驚異の得点力で、一度も首位を明け渡すことなくペナントレースを制しました。5月中旬に若干打線の湿りを示す部分も見えますが、それ以外は平均4点のラインを下回ることのないほどの得点力を発揮しています。 それは、5失点以上した試合でも勝率が4割というデータにも現れています。〇5失点以上した試合の勝率埼玉西武 .400(24-36)福岡ソフトバンク .226(12-41)北海道日本ハム .164(9-46)千葉ロッテ .148(9-52)東北楽天 .143(8-48)オリックス .130(7-47) 他チームに比べ、圧倒的に高い勝率を残しています。 また、3点以上ビハインドの状況からの勝率を見てみましょう。埼玉西武 .255(13-38)福岡ソフトバンク .128(6-41)オリックス .093(5-49)東北楽天 .088(5-52)北海道日本ハム .082(4-45)オリックス .068(4-55) 埼玉西武は逆境を跳ね返せる攻撃力があったことを伺わせます。つまり、投手の失点を打線がカバーし、勝利を収めているということです。また、逆転勝ち42回は12球団最多です。

防御率はリーグ最下位、先発は安定も救援陣が不安定

 ただ、これらのデータから、5失点以上の試合が60試合もあり、それだけ多く先制されているということも分かります。チーム防御率は4.24でリーグ最下位。チーム防御率リーグ最下位でのリーグ優勝は、2001年の大阪近鉄以来2度目になります。 開幕当初は9連続クオリティスタート(QS=先発投手が6イニング以上を投げ、3自責点以内に抑える)を達成するなど、ペナント序盤は充実した先発投手陣の片鱗も見えました。実際、菊池雄星16、多和田真三郎14、榎田大樹13とQSを稼ぎ、先発ローテーションを通年で担えたことも優勝の大きな要因となっています。 ただ、前半戦から救援投手陣が安定せず、打線が大きなリードを奪っても、そのリードを食い尽くすような戦いぶりも目立っていました。5月中旬から交流戦前までは、その失点を上回る得点を稼いで凌いできた様子がグラフから伺えます。救援陣が炎上し、防御率が5点台にまでなった時期もあったほどです。 しかし、後半からはヒース、マーティン、小川龍也など新加入投手の活躍によって救援陣に改善の兆しが見えてきました。7月下旬から8月前半にかけてのレッドゾーンで確固たる首位固めを行い、9月以降福岡ソフトバンクの猛追にも、直接対決での5連勝を含む12連勝で振り切り、9月30日、無事に優勝を遂げたのです。 クライマックスシリーズは、福岡ソフトバンクに大量失点を喫するなどペナントレースで垣間見せた防御力の脆弱性を突かれた形での敗戦となりました。来季以降はこれをどう改善するかがポイントとなりそうです。
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