埼玉西武といえば牧田投手、シュリッター投手、増田投手といった試合終盤を締める「シンガリ部隊」が頼もしい。しかし、試合中盤のマウンドを任される「便利屋」のポジションは、例年手薄になりがちであった。そんな中、その役割を危なげなくこなす投手が現れた。25歳の社会人出身ルーキー・平井克典投手だ。
愛知産業大学を卒業後、自身の腕でHonda鈴鹿を夏の都市対抗ベスト8に導いた平井投手は、昨年のドラフトで埼玉西武から5位指名を受けた。ファームで安定した投球を披露し、5月23日に一軍昇格を果たすと、中継ぎとして定着。先発投手が走者を残してマウンドを降りた場合や、試合中盤のピンチなどに登板してチームの勝利に貢献している。7月6日の北海道日本ハム戦では、同点に追い付かれた4回裏1死1,3塁という緊迫した場面で登板し、見事無失点で切り抜けると、プロ初勝利を手にした。
平井投手の持ち味は、社会人時代から磨き続けてきた切れ味抜群のスライダーだ。これを140キロ台の直球とうまく組み合わせ打者を翻弄する。また、やや変則気味のサイドスローであるため、リリースポイントを見極めることが難しい。まだ長い回を投げた経験はないが、社会人時代は主に先発を務めていたことから、スタミナにも期...