現在パ・リーグ4位のオリックスは、ウエスタン・リーグで最下位に沈んでいる。しかし、チーム防御率は阪神に次いでリーグ2位。いずれチームを背負う「投」の逸材が、虎視眈々と腕を磨いていることが窺える。その中でも大きな期待をかけられている高卒ルーキーを紹介したい。背番号「43」、山本由伸投手18歳だ。
「由伸」という名前は、大方の予想通り巨人の高橋監督にちなんでいるという。「ウルフ」と呼ばれ、卓越したバットコントロールを誇った現役時代の高橋監督とは異なり、山本投手は打棒ではなくその右腕で、自身のプロとしての道を切り開こうとしている。
生まれも育ちも岡山県だが、宮崎県の都城高校に進学した。当初は主に三塁手を務め、自ら希望して投手に専念したのは1年夏の大会後からだった。瞬く間に才能が開花し、2年春には球速147キロをマーク。同年夏に行われた第63回県高校新人野球大会では最速151キロと、早くも大台を突破する。決勝で9回12奪三振、無安打無得点という快投までをも披露して、チームを16年ぶりの優勝に導くとともに、一躍その名を全国に...