新垣渚氏のセカンドキャリアは「野球振興の部署で働かせていただいています」 近年のスポーツ界で課題の1つとされるのが、選手のセカンドキャリアだ。現役生活を終え、現役時代よりも遥かに長い第二の人生でどんなキャリアを描くかは、多くの選手が頭を悩ませるところだ。実際に日本野球機構(NPB)が若手選手に行ったアンケートでも全体の38.5%が引退後の生活に「不安がある」と回答している。 球団として選手のセカンドキャリア支援に力を注ぐ福岡ソフトバンクの球団OBと企業経営者がセカンドキャリアを考える連載の第3回は、山口県長門市に本社を置く水産練製品製造業「フジミツ株式会社」の藤田雅史代表取締役社長とホークスの野球振興部で働く新垣渚氏が選手のセカンドキャリアとアスリートの強みについて考えを語り合った。◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇藤田雅史社長(以下、藤田)「新垣さんは今おいくつですか? 引退してからはどんな仕事をされているのでしょう?」新垣渚(以下、新垣)「42歳になりました。ホークスはセカンドキャリアにも力を入れてくれていまして、僕は引退後、野球振興の部署で働かせていただいています。コーチングの勉強をしながら、子どもたちに野球を教えています。現役時代は野球しかやってきていなかったので、引退してからが大変だっていうのは常に感じていました。そこを理解して行動するっていうのも最初はなかなか難しかったですね。どうしてもプロ野球選手っていう変なプライドが邪魔してしまっていた。プライドが邪魔しなければ、頑張れるっていうのを感じています」藤田「普通のサラリーマンと違って、普通の人が経験できないことを経験されてきている。それは、これからのセカンドキャリアでも生きると思います」新垣「それが強みだとは思います。頑張ってやってきた結果、少しは皆さんに名前を知ってもらっている。そこはうまく活用していかないともったいないのかなって思います」藤田「子どもたちがどうすれば新垣さんのようになっていけるのか、夢をつかめるのかっていうのをまた伝えていく上で、経験というのは生きてくると思いますね」経営者として人材に求める素養は「挨拶」と「マイナスの部分を伝える」新垣「藤田社長が経営者として採用する人材に求めたい資質はどんなものですか?」藤田「いくつかポイントはあるんですが、やはり挨拶を大きな声でできる人、自分の失敗談とかマイナスの部分をはっきり伝えることができるところですね」新垣「マイナスの部分を伝えられる人ですか?」藤田「自分をアピールするというのは、誰しも面接とかであるんですけど、こういうところが足りない、こういう失敗をしたからこう改善しようとしていますって、マイナス部分を自分ではっきり言えるような人というのは信頼できるんです。あとはきちんと自分のビジョンとかプラン、どういう仕事をしてみたいかをはっきりと答えられる。明るく元気があって、表裏なくマイナスの部分もしっかり話すことができる、そしてビジョンをしっかり持っている、こういったところですね」新垣「挨拶、礼儀というのは、人として、スポーツ選手として当たり前のことだと思います。人間として当たり前のことをできもしないのに、プロ野球選手、スポーツ選手というのは違う。少年野球の頃に、技術を習う前にまず挨拶というのは徹底していましたね。今はなかなかそういう指導っていうのは、ご時世的に難しくなってきたというのがあるんですけど、子どもたちと接する中で挨拶とか当たり前のことをうまく伝えていきたいと思ってやっています」「企業経営をする中で、アスリートの採用に関心はおありですか?」藤田「もちろんあります。トップアスリートとして活躍した人とか、東大を卒業した人というのは、やはり尊敬できるところがあります。何かを犠牲にしないとそうはなれないですから。東大に入るような人は高校時代、休む時間を削って我慢して勉強に打ち込んでいる。アスリートもそう。何か自己犠牲を払っているから、その道に行けている。若い時代に楽な道に走らず、そういう自己犠牲を払って、目標を達成した経験というのは、どんなところに行ってもすごく活きてくると思うんです」新垣「僕らの強みというのは精神力とか礼儀、小さい頃から叩き込まれてきたものだと思います。アスリートは少なからずネームバリュー、価値というものが絶対にあると思っています。活躍してきた人はそのまま自分のネームバリューを上げて頑張ればいいと思うし、そこまでバリューのない人たちでもチャンスはいっぱいある。プロにまでなった人には全員に価値があると思いますし、自分たちのことをアピールしていけばいいのかなと思います」 続きを読む