千葉ロッテの切り込み隊長として名高い荻野貴司選手。2009年ドラフト1位で千葉ロッテに入団すると「12球団で一番速い」とも評された俊足でプロ野球界に旋風を巻き起こした。今季は公式戦折り返し地点で打率をリーグ3位につけており、チームの切り込み隊長として打線をけん引。プロ12年目にしてますます存在感を強める荻野選手の魅力にあらためて迫りたい。
幾度となく襲ってくる怪我を乗り越えて
荻野選手を語るときにいつもつきまとうのが“怪我”の話だ。ルーキーイヤーは46試合に出場し25盗塁と驚異の脚力を見せたが、右膝の半月板損傷で戦線離脱。その年千葉ロッテは日本シリーズ優勝を決めたが、胴上げの場に荻野選手はいなかった。その後も、肉離れ、ハムストリング損傷、脱臼と毎年怪我に苦しんだ。2017年のオフシーズンでは「怪我を0に」という願いも込めて背番号を「4」から「0」に変更するが、2018年には初のオールスター出場目前で右手を骨折し球宴出場辞退。涙を飲んだ。
毎年のように怪我に見舞われるが、荻野選手は決して屈しない。特に「荻野選手らしさ」を表しているのは、右手骨折から復帰した2019年。プロ10年目にしてついに初の規定打席に到達すると、打率.315を記録し、埼玉西武・森友哉選手、オリックス・吉田正尚選手に続くリーグ3位に座る。10本塁打、28盗塁の活躍を見せ、ベストナイン、ゴールデングラブ賞も獲得するなど、キャリアハイの成績を残した。まさに「七転び八起き」を体現しているようだ。
怪我を乗り越えさらなる高みへ
荻野選手といえばその俊足に注目されることが多いが、打撃面の才能も光る。前半戦終了した折り返し地点で、339打数(リーグ2位)、104安打(リーグ2位)、打率.307(リーグ3位)、56得点(リーグ2位)と各部門でトップ。得点圏打率は.323とバットを短く持ち、腰をくるっと回して打つ打撃スタイルで、日々快音を響かせている。
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