「どこに、何を投げても打たれる」恐怖。データに示された、吉田正尚の類稀なるスケールの大きさとは

2020.10.20(火) 16:30 パ・リーグ インサイト 望月遼太
オリックス・バファローズ 吉田正尚選手(C)パーソル パ・リーグTV

安定してハイレベルな成績を続け、今やオリックスの打の顔と呼べる存在に

 2019年に引き続いて2年連続でパ・リーグの首位打者争いに加わっている、オリックスの吉田正尚選手。2018年から2年続けて全試合に出場しながら打率.320以上を記録しており、その打撃の安定感はリーグ屈指だ。今季も開幕直後は打率.200を切る時期もあったが、7月に入ってから大きく復調し、現在は首位打者を争うレベルまで成績を伸ばしてきた。こういった修正能力の高さも、吉田正選手の優れた能力の賜物であろう。
 青山学院大学からドラフト1位でプロ入りして5年目、7月15日に27歳になったが、オリックス打線の不動の3番あるいはアダム・ジョーンズ選手離脱後の4番として、今やチームの打の顔と呼べる存在の吉田正選手。今回は、そんな吉田正選手のどんな部分が打者として優れているのかを、各種の数字や、実際のデータに基づいて分析。その結果を紹介するとともに、類まれなスケールの大きさを秘めた強打者の魅力に迫っていきたい。(※数字は2020年10月19日時点)

豪快なフルスイングと、高い確実性を両立する優れた打撃技術

 2018年8月15日の埼玉西武戦ではバットを折りながら打球をスタンドまで運んだように、一目見るだけで多くの人の印象に残るであろう、力感にあふれるフルスイングが吉田正選手が持つ最大の魅力の一つだ。数字の上でも昨季は29本塁打を記録しており、30本の大台まであと一歩という数字に。173cm・85kgとプロ野球選手としては決して大柄とは言えないものの、そのスイングと打球は強烈なインパクトを持ち合わせている。
 それでいて、ただ振り回すだけというわけではなく、きっちりと高い打率も残すという点は、吉田正選手が持つ並外れた打撃センスの表れだ。プロ2年目の2017年以降、打率は3年連続で.310を超えており、並外れたフルスイングと優秀な安定感を両立させている。昨季は森友哉選手(埼玉西武)との熾烈な首位打者争いの末に惜しくもタイトルを逃したが、例年以上に高い打率を残している今季は、自身初のリーディングヒッター獲得にも期待だ。

卓越した選球眼

 吉田正選手が高い打率を記録し続けているのは先述の通りだが、決してフリースインガーというわけではなく、優秀な選球眼を持ち合わせているのも大きな特徴といえる。プロ2年目の2017年以降、毎年.400を超える高い出塁率を残しており、チャンスメイクという観点でもその貢献度は高い。時にはチームのために冷静に四球を選べるという姿勢も、吉田正選手の打者としての価値をより高めている。

各種指標における優秀な数字

 高い打率と出塁率に加えて、多くの長打も生み出している吉田正選手の打撃は、野球を統計学的な側面から捉える「セイバーメトリクス」の観点からも高い評価を受けている。吉田正選手がプロ入り以来残してきた、出塁率と長打率を足して求める、得点との相関性が高い指標の一つとされている「OPS」の数値は、下記の通りとなっている。

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