圧倒的な打力を誇った埼玉西武は、機動力の面でも……
先の塁を狙う走者と、それを阻止せんとするバッテリー。盗塁を巡るせめぎ合いは、野球の醍醐味の一つでもあるだろう。しかし、確率の面からいえば、盗塁はリスクの高い作戦でもある。盗塁成功率には含まれない牽制死のリスクも考慮する必要があるが、セイバーメトリクスの観点から得点期待値が上がる、すなわち「盗塁したほうが良い」とされる目安は、成功率70%以上からとされている。
2018年のパ・リーグを制覇した埼玉西武は、看板の強力打線が打率・得点数ともにリーグトップという圧倒的な打力を見せた。その一方で、132個の盗塁もリーグ1位の数字。ただやみくもに走っているというわけではなく、盗塁成功率73.3%と確実性も優れていた。2位の福岡ソフトバンク(685得点)を100点以上も引き離した、年間792得点というリーグトップの得点数には、高い機動力も一役買っていたと考えられるのではないだろうか。
2019年のパ・リーグ各球団が記録した盗塁数と盗塁成功率を確認してみると、2018年と同じ傾向を示しているチームと、前年とは異なる傾向を示すチームがそれぞれ存在していることがわかった。そこで、今回は直近2年間のデータに加えて、今季の盗塁数が各チーム内で上位に入っている選手たちを紹介し、そこから見えてくる各チームの特色と、各球団内における「走った方がいい選手」について考察していきたい。
昨季の盗塁数がリーグ2位だった千葉ロッテは“モデルチェンジ”に成功?
2019年のパ・リーグ各球団が記録した盗塁数と、盗塁成功率は以下の通り。(数字は7月...
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