福岡ソフトバンクホークス甲斐野央投手は「毎回ビビってる」。まだまだ進化の途中

2019.7.4(木) 11:06 パ・リーグ インサイト

ドラ1右腕が学生時代に語った「不安」

 東洋大学スポーツ新聞編集部の学生記者として、筆者が初めて甲斐野央投手を取材をしたのは、甲斐野投手が大学3年次の2017年11月26日のこと。その日は甲斐野投手のほかにも取材予定の選手がいたのだが、こちらの手違いで2選手が東洋大学寮内のトレーニング室に来てしまう事態に。焦る筆者に「2人同時でもいいですよね?」という甲斐野投手の救いの一声で、申し訳ない気持ちを抱えつつ、同時取材を行うことになったほろ苦い思い出だ。初めて取材した印象は“よく話す関西人”(笑)。そこから甲斐野投手の“番記者”になろうとは、そしてその約1年半後にドラフト1位でプロ野球界に飛び込むとは、その時は思いもしなかった。
 
 番記者として甲斐野投手を1年間取材してきた中で感じた魅力は、最速158キロのストレートでも鋭く落ちるフォークボールでもなく、切り替える力。大学時代は試合後に決まってと言っていいほど、「今日は良かった。でも、明日は明日。しっかり切り替えてまた抑えるだけ」「悪かったところは考えるけどしっかり切り替えて明日に臨みたい」と口にしていた。メディアを通じたコメントを見る限り、この姿勢はプロ入りをした今も変わっていないと思う。
 プロ野球のスカウト陣が毎試合足繁く通う中、全試合で好投を披露できたわけではない。今でも忘れることができないのは、4年次秋季リーグ戦の3戦連続救援失敗。3戦目の終了時にはバスに乗りこむ直前で「プロに行くのは無理かもしれない」とつぶやき、表情を曇らせていた。かける言葉がないとはこのことだった。甲斐野投手は卒業前に当時のことを「すべてがうまくいってなかった」と振り返った。
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