
オリックス・山崎颯一郎投手(26)が2025年もスポーツ報知に独占コラム「人生一度きり」を寄せる。昨年は上半身のコンディション不良で7試合の登板にとどまり、同コラムの寄稿も一度きり。宮崎キャンプを打ち上げ、オープン戦、開幕へ向かう新シーズンの第1回は、2年ぶりの50試合登板を目標に掲げ「見ていてください」と復活を約束した。エース・宮城大弥投手(23)のコラム「一生百錬」とともに、随時掲載する。
スポーツ報知の読者の皆様、ご無沙汰しています。今シーズンもよろしくお願いします。昨年始めた「人生一度きり」ですが、コラムを書かせていただいたのも、「一度きり」になってしまいました。僕のことを深く知ってもらえる貴重な機会。今年は活躍して、たくさん発信ができればと思っています。
キャンプ中は自分と向き合う時間が長く、いろんなことを考えられました。投球フォーム、体重移動のこと。考える時間があるので、考えがいい方にも悪い方にも流れます。2月には一度だけ、野球の夢も見ました。「この投げ方だ! 感覚的に、こうすればいいんだ!」という夢。でも、起きてすぐに実践してみると、投げ方がパッと消えてしまって…。夢って忘れてしまうものですけど、ずっと野球のことが頭にありました。
去年よりも良くしたい、良くなりたい。取り組んできたことを信じ、実戦に臨みました。しかし、2月17日の紅白戦は2/3回で3失点。こんなものなのか…と、本当に落ち込みました。登板後に一人でネットスローをしました。若い頃にファームでやっていた、フォーム固めの練習です。原点回帰じゃないですけど、冷静になれました。「変えたい」という思いが強すぎて、ドツボにハマっているような気がしました。
一言で言えば、考えすぎでした。フォームのことを考えすぎ、打者に集中できていませんでした。余計なことまでやってしまい、メンタルにも影響していました。しっかり打者と勝負して、抑えて自信を積み重ねていくことが一番です。試合になれば、考えている場合じゃないですから。厚沢投手コーチやいろんな方が目をかけてくれて、僕に寄り添ってくれました。必ず、結果で返していきます。
メンタルの話では、昨年のオフから変化球の呼び方を変えました。スライダーはカットボール、フォークはスプリットと。無理に曲げよう、落とそう、という意識が、良くない方向に作用していたからです。小さな変化でいいんだ、という気持ちに変えて、少し楽になりました。握りや投げ方は同じなので、実際にいい変化もしてくれています。
正直、完全に悩みが晴れたわけではありません。そういう状況も想定し、今しかできないことに取り組んでいます。27日の韓国ロッテ戦は1回無失点。マウンドでの投球練習が、キャンプで一番良かったです。真っすぐがパチーンとミットに収まる感覚。最速も151キロでした。ジャンプして大きなものをつかもうとするのが、今までの僕の悪いところ。一個ずつ…と言い聞かせて、課題をつぶしていきます。それが一番の近道だと思っています。
去年はけが(注)をして、初めてと言っていいぐらい野球でイライラしました。特につらかったのが鎖骨の前、肩の付け根あたりにあった痛みです。立っているだけでも痛いし、寝ていても痛い。ずっとつらかったです。野球は楽しくて、面白いもの。50試合以上は投げたいし、僕にとってスピードはロマンでもあります。165キロという数字も、意識はしたいです。
ファンの方に楽しんでもらうのも、僕たちの仕事です。人気企画となったオリメン投票でも活躍し、認められた上で、たくさんの方に注目されるように頑張ります。宮城という、ものすごい強敵はいますけど(笑い)。今年は崖っぷちという気持ちが強いですし、1軍に戻らなければいけません。打者を圧倒し、打者を制圧できるレベルにまで持っていきます。見ていてください。(山崎 颯一郎)
(注)昨年はキャンプ終盤にコンディション不良を訴えたが、開幕1軍に滑り込んだ。4月14日に一度、再調整で2軍降格。5月22日に昇格したものの、同29日には上半身のコンディション不良で再び出場選手登録を抹消された。そのままファーム調整が続き、7試合で0勝1敗、セーブ、ホールドともにゼロ。自己最多の53試合で9セーブ27ホールドをマークし、優勝決定試合で胴上げ投手にもなった一昨年から大きく成績を落とした。
◆山崎 颯一郎(やまざき・そういちろう)1998年6月15日、石川・加賀市生まれ。26歳。小学3年時に「山代少年野球クラブ」で野球を始め、中学時代は「加賀ボーイズ」に所属。3年時にボーイズ日本代表に選ばれ、世界少年野球大会で優勝した。敦賀気比では1年春からベンチ入りし、2年春夏、3年春に甲子園出場。16年のドラフト6位でオリックス入団。23年のWBC日本代表に追加招集され、世界一を経験した。通算成績は84試合で3勝6敗10セーブ33ホールド、防御率2・76。190センチ、98キロ。右投右打。年俸5300万円。
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