
楽天・前田健太投手(38)が11年ぶりのNPB白星を挙げた。西武戦(楽天モバイル)に先発して7回3安打無失点、6奪三振と圧巻の内容。今季7登板目で待望のイーグルス1勝をつかみ、お立ち台で感極まった。今季最長イニングを投げて、同最多の114球の熱投。チームも首位を相手に今季初の同一カード3連勝を決め、吉井理人新監督(61)は監督通算200勝目を飾った。
前田健の魂の咆哮(ほうこう)が響いた。2点リードの7回2死二塁。平沢を二飛に打ち取ると、ほえまくった。7回3安打無失点で今季7登板目での初勝利。15年10月2日の中日戦(マツダ)以来、3919日ぶりのNPBでの白星。お立ち台で目を潤ませながら喜びの声を届けた。
「ファンの方にたくさん応援してもらってる中、なかなか勝てなかった。今日という日は僕にとってすごく大切な日になりました」
覚悟を持って選んだ。メジャーで10年間プレーし、日本復帰を決断。「ここでキャリアを終えるつもりで来た」。不退転の決意を持って戦っている。この日は最速151キロの直球で押し込み、変化球を低めに集めた。好フィールディングも連発。気迫の投球で吉井新監督とチームを同一カード3連勝に導いた。
海の向こうで野球観を覆された。MLB1年目に16勝。優勝の味も知った。21年には右肘を手術。マイナーでも腕を振った。胸に最も刻まれるのは一流選手の“日常”だった。
「一番印象的なのはメジャリーガーがめっちゃ練習すること。行くまでは練習しないイメージだったけど日本人より練習する。そのギャップに一番驚いた」
ドジャース時代の同僚でMLB通算223勝のレジェンド、カーショーの姿が目に焼き付く。「衝撃を受けた。こんなにやるんだ、と」。サイ・ヤング賞を3回獲得したスターが誰よりも汗を流す。その背中が根底から変えた。「もっとやらないとダメだな、と。野球観や姿勢はめちゃくちゃ変わりましたね」。球場入りの時間は3時間以上も早くなった。トレーニングも増えた。日本での復活星も偶然の産物ではない。フォームを微調整。徹底したプロ意識で再び輝きを放った。
2軍調整中の4月11日には38歳の誕生日を迎えた。「家族も来てお祝いしてくれましたね」。勝つ姿を早く見せたかった。新天地でつかんだ日米通算166勝目。「僕にとっては特別な1勝になった」。マエケンの“新章”が動き始めた。(宮内 孝太)
〇…前田健が初勝利の記念にTシャツに絵を描き、ファンにプレゼントした。独特のタッチの絵が有名となっている右腕はお立ち台で「しゃべるだけじゃ面白くない。得意な絵を描いてきた」と即席で用意したものを取り出した。制作時間約1分で仕上げた“逸品”。左翼ホームランテラス席の少年に渡ることになった。
【記録メモ】 前田健(楽)が広島に在籍した15年10月2日の中日戦以来、日本球界では11年ぶりの白星。大家友和(横浜=94年1勝→10年7勝)の16年ぶり、松坂大輔(西=06年17勝→中=18年6勝)の12年ぶりに次いで、3番目のブランク勝利となった。