◆ ここぞの場面での勝負強さ
「全然、得点圏打率を見たら分かるように低いのでもっと打たないといけないと思います」
ロッテ・山口航輝は21日の楽天戦の試合前練習後の取材で、勝負所での打撃について厳しい自己分析をしていたが、決勝弾を含む2安打5打点の活躍でチームを勝利に導いた。
試合前まで得点圏打率は.250だったが、5月31日の阪神戦、2-2の8回一死一、二塁の第3打席、モレッタが1ボール2ストライクから投じた5球目の外角134キロのスライダーを右中間に破る決勝の2点適時打を放てば、6月14日のDeNA戦、2-2の5回二死満塁の第3打席、坂本裕哉が1ボール2ストライクから投じた4球目のチェンジアップを「気持ちだけです」と決勝の2点適時打と“ここぞ!”の場面では勝負強さを発揮していた。
21日の楽天戦、0-1の初回、佐藤都志也の適時打で同点に追いつきなお、二死一、三塁の第1打席、「チャンスだったので良かったです。頑張って走ってくれた都志也さん(佐藤)のおかげかな」と藤井聖が2ボール1ストライクから投じた4球目のストレートをライトオーバーの2点適時二塁打。3-2の3回一死一、三塁の第2打席は、内星龍が1ボールから投じた148キロのストレートをライトへ犠飛。
同点に追いつかれた直後の4-4の8回無死一塁の第4打席、加治屋蓮が1ボールから投じた2球目のフォークを“山口らしい”弾丸ライナーでレフトスタンドに放り込んだ。これが山口にとって3年ぶりの二桁10号本塁打となった。
試合前練習後の取材では打撃の状態について「普通です」と話していたが、試合後のヒーローインタビューでは「バッティングは良いと思います」と力を込めた。
◆ 速いストレートに対応
今季の山口の打撃を見ていると、150キロを超えるストレートをしっかりと弾き返せている。
6月12日のDeNA戦、0-0の2回一死走者なしの第1打席、入江大生が2ボール2ストライクから投じた5球目の153キロストレートをバックスクリーンに第8号ソロを放てば、6月14日のDeNA戦では1-1の4回一死走者なしの第2打席、尾形崇斗が2ストライクから投じた3球目の156キロストレートを右中間に破る二塁打を放つなど、強いストレートに対し力負けしなくなった。
その理由について訊くと、山口は「構えを変えていい感じに無駄な動きがなく、無駄な力を使うことなく振れているかなと思います」と自己分析。
栗原健太打撃コーチも山口の打撃について「まっすぐは今年に関しては弾けるようになっているので、本当にそれが成長かなと思います」と評価し、「元々変化球、半速球を打つのは上手だった。まっすぐを打てるようになって幅が広がったし、打席の中でも余裕があるんじゃないですかね」と続けた。
◆ メンタル
山口は1月の自主トレでメンタルの部分で“切り替え”について話していたが、シーズンが始まってからは「そこはちゃんとできているかなと思います。マイナスな方向に向かないようにプラスな方向に向かうようにやっています」と、日々前向きに野球と向き合っている。
「今のところ(バッティングに)つながっているんじゃないかなと思います」と、メンタルをしっかりとコントロールできていることも、好結果に結びついている要因の1つと言えそうだ。
メンタルもそうだが、全体練習前には黙々と三塁ベンチ方向からレフトポール際に向かってロングティーを行うなど、結果を残すための準備も欠かさず取り組んでいる。
“速いストレート”を弾き返せるようになり、メンタルの切り替えもでき、逞しくなった。これまでは好不調の波が大きいことが課題だったが、5月12月に再昇格してから1ヶ月以上、安定した打撃を披露している。“期待の長距離砲”から“ホンモノの長距離砲”に近づいていることは間違いない。かなり気は早いが、シーズン終わった時に、プロ入りから目標に掲げている30本塁打にどこまで近づいているか、30本以上放っているのか本当に楽しみだ。
取材・文=岩下雄太