【Buffaloes Inside】2軍運営担当からスコアラー転身1年目のオリックス・上野響平さん。「ちょっとでもチームのプラスになることを考えています」と首位争いに貢献

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スコアラーに転身し、チームの勝利に貢献している元オリックスの上野響平さん(写真=北野正樹)
スコアラーに転身し、チームの勝利に貢献している元オリックスの上野響平さん(写真=北野正樹)

 オリックスのOBで、2024年オフに現役を引退した上野響平さんが今季、2軍の運営担当からスコアラーに転身し、首位争いを繰り広げるチームの勝利に貢献している。

 「1年で担当を変わるとは思っていなかったのですが、いずれチームに近いところに戻りたいと思っていました。ちょっとでもチームにとってヒントや引き出しになることを伝えたいと考えてやっています」。スコアラーに転身しシーズン2カ月を過ぎた上野さんが、1年目の取り組みを説明した。

 上野さんは大阪府出身。京都国際高では守備範囲の広さと強肩で知られた内野手で、2019年ドラフト3位で日本ハムに入団した。3年目の2022年4月の楽天戦(札幌ドーム)で初安打(左翼線二塁打)を放つなどしたが、オフに戦力外通告を受け、オリックスに育成契約で入団。移籍1年目の23年は、2軍戦で自己最多の80試合に出場するなど多くのチャンスをもらったが、支配下をつかむことはできず24年オフに退団した。

 しかし、25年1月から球団事業本部事業運営部スタジアム運営グループに配属され、2軍の運営に携わることに。上司の岡村義和さん、丸毛謙一さんとスポンサーとの交渉にあたったり、地方での試合開催に向けて自治体などと事前協議をしたりするなど、現役時代には知る由もなかった運営の裏舞台を知ることに。「開催地の関係者とは半年前から打ち合わせをして、1か月ごとに定例会議も開きます。開催するために多くの人がかかわっているから、ゲームが成り立っているんです。選手目線では『なんで不便な地方で開催するの』と思うかもしれませんが、今後、1軍でやっていくためにはこういうことも経験しておかなくてはいけませんし、地方のお客さんを1軍につなげる意味もあるんです」。選手はみんな協力的だが、選手を輝かせる裏方を経験することでプロ野球の奥深さもわかるようになった。

 1年を通して2軍の試合運営を勉強した上野さんは、昨年末にプロ入りしてから何度目かの転身を迫られた。球団本部管理部スコアラーグループへの異動だった。今村文昭グループ長以下8人の体制で、2月にOBでDeNAや楽天で打撃コーチを務めた高須洋介さんが入団するまで、内野手出身はベンチ入りする今村グループ長だけ。「内野手の目線で見て欲しい」という球団の要請が、わずか1年での配置転換になったようだ。

 今年1月から異動し、2月の春季キャンプの第2クールから「先乗り」として他チームの視察が始まった。5月中旬まではロッテを担当、試合をみて集めた打者のデータを分析し、対戦直前のミーティングで自チームのバッテリーに伝えるのが主な仕事だ。ナイター終了後、帰ったホテルの自室でで資料をまとめる日々。「初めは今までの生活でないくらい、寝ていませんでしたね(笑)。やることは決まっているのですが、なるべく多くの情報を(チームに)提供したいと思うから、どうしても遅くまでかかってしまいます。自分が(十分に分析できていないなどと)不安要素を持ちたくないんです。それじゃ、(正確に)伝えることはできないんで」

 心がけていることがある。元プロ野球選手、内野手としての感性だ。「今、どの打者がどういう状況なのかは、誰が見てもわかることです。でも、(ネット裏の)一番近くで見ているからわかることが、少なからずあるんです」。例えば、データでは内角を安打している打者と出ていても、外角球にも対応する場合もある。「そういう時もありましたよ、と伝えれば、ちょっと違う配球をする場合もあります。ちょっとでもバッテリーの人が、楽になるというか、(配球を)考える時間が短くなればいいなと思ってやっています」という。相手チームの攻撃面の作戦を細かく伝えることができるのも、内野手の視点があるからだ。

 上野さんの仕事ぶりについて、今村グループ長は「どこまで掘り下げていくかというのを自分で決めなくてはいけない職業なんで難しいと思いますが、本当によくやってくれています。もう何年もやっている人と変わらない仕事ぶりです」と評価する。

 「でも、やっぱり深堀りしちゃうんですね。これでOKという答えがないから終わりがないんです。追いかければ追いかけるだけ、追いかけられちゃうんで。でも、調子のいい(相手)バッターをちゃんと抑えてくれるとうれしいですね」。データと自身の感性を融合させた資料が、チームに役立つことに喜びを感じながら、今日も全国の球場を行脚する。

取材・文=北野正樹

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