トミー・ジョン(TJ)手術からの復帰を目指すオリックスの宇田川優希投手が、2軍戦での実戦復帰登板で最速156kmをマークし、支配下再登録に大きく前進した。
「支配下というところは絶対に目指すべきところですが、上(1軍)の中継ぎに負けないようにならないと、上には行けません。1軍の勝ちパターンで投げられるように練習をしています」。公式戦での実戦復帰を果たした1日後、宇田川が大阪・舞洲の球団施設で表情を引き締めた。
宇田川は埼玉県出身。県立八潮南高、仙台大から2020年育成ドラフト3位でオリックスに入団した。豪速球と鋭いフォークを武器に、2年目に支配下登録され、山﨑颯一郎投手とチームの26年ぶりの日本一に貢献。3年目には2023年に侍JAPANの一員として、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一も経験した。23年に46試合に登板し、リーグ3連覇に貢献したが、4年目は右肩痛や右ひじ痛で13試合登板にとどまり、25年3月にTJ手術を受け、再び育成選手に。
苦しいリハビリを支えてくれたのが、山﨑だった。プロ入りは敦賀気比高からドラフト6位で入団した山﨑が先輩だが、同じ1998年生まれで仲良くなるのに時間はかからなかった。山﨑も入団3年目にTJ手術を受けて復活。23年には2人でブルペン陣を支えた。
今年4月中旬、山﨑からLINEが届いた。「早く戻ってきて、チームを助けてくれよ」。支配下再登録を果たして1軍で一緒に戦う日を待っているという思いを込めた山﨑からの発信。宇田川は、アニメ「ドラゴンボール」で、悟空が「メディカルマシーン」の中で治療を受ける場面の画像を返した。「メディカルマシーン」は、戦闘で受けたダメージを回復させる装置で、悟空が戦闘能力を完全回復させ強敵を倒すというストーリー。「完全に復活するまで、もう少し待って」という宇田川のメッセージだった。
練習試合登板2戦目となった4月14日の徳島インディゴソックス戦(杉本商事Bs舞洲)で153Kmだった球速は、5月3日の2軍交流戦、ロッテ戦(同)では156km(球団計測)をマークした。「まだカウントを取るフォークが甘かったが、大きく鋭いフォークの質はどんどん良くなってきました。真っ直ぐがあってのフォーク、フォークがあっての真っ直ぐではなく、両方が僕の武器。これからもどんどん、上げていきたい」と宇田川。
「僕もTJ手術をやっているので、苦しさはわかります。優勝した時に一緒にやってきた仲間。早く強いピッチャーになって帰ってきて、切磋琢磨したいと思います」。5月5、6日のロッテ戦(京セラドーム)で本来の球速を取り戻した山﨑はエールを送る。
「メディカルマシーン」を飛び出し、宇田川が完全復活する日は近い。
取材・文=北野正樹