【Buffaloes Inside】オリックス、岸田護監督の“ワークライフバランス”の選手起用で首位キープ

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大胆に休ませる選手起用で、けが防止とチームの活性化を図るオリックスの岸田護監督(写真=北野正樹)
大胆に休ませる選手起用で、けが防止とチームの活性化を図るオリックスの岸田護監督(写真=北野正樹)

 オリックスが、4月を15勝8敗の「貯金7」で終え、首位をキープしている。けが人続出に苦しみながらも、疲れのみえた主力を休ませてリフレッシュさせる、岸田護監督の先を見据えた選手起用が奏功している。

 「うまくいっているかはわからないのですが、結構、大きめのけが人が多く、早く帰ってくるのかわからないので、(長いシーズンの)先をみるとやっておかなくてはいけないと思っています」。ソフトバンク戦(京セラドーム)に逆転勝ちした4月29日、帰路に就く地下駐車場で安堵の表情を浮かべながら、選手起用の狙いを説明した。

 チームは満身創痍の状態だ。2月の春季キャンプの紅白戦で、頓宮裕真選手が左ひざの靭帯損傷の大けがを負い、杉本裕太郎選手も両ひざの故障で開幕1軍を外れた。頓宮は2023年の首位打者で、25年はチーム最多の打点をマークし、杉本も21年の本塁打王に輝いた強打者。シーズンに入ってからも内外野を守れ、勝負強い打撃と全力プレーでチームを鼓舞してきた廣岡大志選手が下半身のコンディション不良のため2軍で調整中。進境著しい若手選手の代表的存在だった杉澤龍選手も右手首を骨折してしまった。内野のユーティリティプレーヤーで、右打ちなど臨機応変の打撃で「野球を知っている」と岸田監督の信頼も厚い大城滉二選手も、試合中のアクシデントで戦列を離れた。

 投手陣では宮城大弥投手が4月9日のロッテ戦(同)で左ひじを痛めて緊急降板、靭帯損傷で長期離脱を余儀なくされ、開幕投手の有力候補だった山下舜平大投手も3月中旬に右肘を痛め、大阪・舞洲の球団施設でリハビリ中。

 そんな苦しいやりくりの中でも、岸田監督の選手起用は“大胆”だ。4月26日の日本ハム戦(同)では、今季初めて太田椋選手をスタメンから外した。有原航平投手に対し、左打者を8人並べるという戦術的な面もあったが、今季、主に「4番」に座っている主軸。「太田は、(相手投手の)左右は関係ないのですが、休ませるという狙いもありました」と岸田監督。

 試合は、代わって4番に入ったボブ・シーモア選手が3回に点差を広げる2ランを放つなど、9安打で9点を奪い逆転勝ち。「カバーしてくれる選手、若い子たちも頑張っているので思い切って出せます」という言葉通り、この試合では、渡部遼人選手も3ランで九里亜蓮投手を援護した。

 一方、太田は28日のソフトバンク戦(京セラドーム)に「4番・二塁」で“復帰”し、「(体は)大丈夫です。しっかりと、また今日から頑張っていきたいと思います」とリフレッシュした表情で試合に臨んだ。安打は出なかったが、四球で出塁しボークで二進した2回1死から中川圭太選手の中前打で先制の本塁を踏む好走塁をみせた。この走塁について、3塁コーチャーを務める松井佑介・1軍外野守備走塁コーチは「椋(太田)がいい判断でいいスタートを切って、こちらが(手を)回したいと思うようなタイミングできてくれました」と評価し、選手の休養について「1シーズン、長丁場ですから、出場し続けることも大事なんですが、けが人が多い中でけがが一番怖い。今の時代に即したではないですが、監督がいろいろ考えながらやってくれています」と話す。

 選手起用について岸田監督は、「みんな一気に休ませるわけにはいかないのですが、毎日見ていく中で、ちょっと疲れていそうだなと、判断していってます。突発的なけがは防げないのですが、トレーナーさんたちがチェックしてくれて『ここがちょっと張っている』『ちょっと休ませようか』とかを、全員で見ながらやっています」という。

 試合直前に雨で中止になった4月10日のロッテ戦(ZOZOマリン)では、森友哉、宗佑磨、中川の3選手を休ませようとしたこともあった。「昨年は、一気に3人を休ませたことはなかったのですが、疲れがたまる夏場以降に突発的なけがも出ました。(今季は)人数的にも厳しいので、そこはちょっと慎重になっています」と明かす。

 企業では、休養をしっかりと取って仕事の効率を上げる「ワークライフバランス」の取り組みが進んでいる。厳しい競争の世界を生き残る個人事業主の集まりであるプロ野球選手にはなじみの薄い施策だが、未然にけがを防ぎ選手の能力を最大限に生かす岸田監督のチームマネジメントが、チームを活性化させ最大の効果を発揮している。

取材・文=北野正樹

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