ロッテ・八木彬「きっかけをいただいたのも監督」、「そこの道なんだなと今投げていても再確認」ツーシーム挑戦から約3年ーー覚醒の時を迎える

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ロッテ・八木彬(撮影=岩下雄太)
ロッテ・八木彬(撮影=岩下雄太)

 ツーシームを覚えてから約3年――。ロッテ・八木彬は、覚醒の時を迎えようとしている。

 八木はプロ入りしてからは力強いストレートとフォークを武器にし、新人時代からストレートにこだわりを持って取り組んできた。ストレートの強さは武器ではあるが、時に大きな痛手を食らうこともあった。ファームで先発に挑戦していた24年途中、「真っ直ぐは怖さがないというか、強さがあるけど怖さがない。綺麗すぎると感じだったので、もっと球的に汚く、変化してやった方が打ち取れるんじゃないかなと二軍監督に言われてそれでやってみたらハマったみたいな感じです」とサブロー監督(当時二軍監督)に助言され、当時二軍投手コーチで現役時代シュートを投げていた大谷智久氏からもアドバイスをもらい習得に励んだ。

 ツーシームを投げるようになり、ゴロを打たせてアウトを取る面白さを知った。24年秋には「(ストレートを)投げる予定は今のところないですね」と、ツーシーム主体の投球に切り替えようとした。しかし、そこに思わぬ落とし穴があった。

 25年は練習試合から思うような投球ができず、「ツーシームを投げすぎて、体が開き気味になっていたので、それを戻すのに真っ直ぐを投げている感じです。強い真っ直ぐというところがあってのツーシームというところだと思ったので、まずは真っ直ぐをやっていました」と同年3月の二軍戦から再びストレートを投げるようになった。

 昨季は一、二軍を往復し、シーズン自己最多の27試合に登板したが、防御率は5.96。ただ、「球自体はしっかり通用しているので、自分の投球スタイルをもう1回見直してやらないといけないなと思いました」と、反省も5試合連続無失点に抑えシーズンを終えた。

 新シーズンに向けたオフは「投球につながるようなウエイトを多くやりました。12月は重たいのをやって、1月に変えたみたいな感覚でやっていました」とトレーニングを積んだ。

 都城春季キャンプでは、2月10日のライブBPに登板。「いつも石垣でやっていて、体が動いて球速も速くなっている中で、こういう寒いところでやるのは初めて。球速的にはマックスが144とかだったので、もう少し速くてもいいかなと。寒いのもあるので、なんとも言えないですけど、球的には良かったと思うので、沖縄行って球速が上がってきたらいいなと思います」と、上田希由翔、安田尚憲に対し合計20球を投げ、安打性のあたりは4本に抑えた。

 ストレートとツーシームの投げ分けについて「まっすぐも絶対にいる球なので、ツーシーム、ツーシームとなって、そこだけでしか勝負できなかったら、打たれる。まっすぐも投げることは大切。そこはどっちも使っていきたいと思います」と、今季も2つの球種を使っていくことを示唆。

 練習試合、オープン戦に向けて「ストライク先行で、細かいコントロールもないので、どんどん行けたらいいなと思っています」と意気込み、2月の対外試合は4試合・5回を無失点。3月に入ってからはファームで過ごした。

 ついにその時が来た。4月9日に今季初昇格を果たす。今季初登板となった4月11日の西武戦、2回を無失点に抑えると、4月15日の日本ハム戦では5-5の4回から登板し、その裏に藤原恭大、西川史礁の適時打で3点を勝ち越し、8-5の5回に万波中正に一発を浴びるも2回を1失点に抑えプロ初勝利。翌16日の日本ハム戦も、3-3の5回から登板し2回を無失点に抑え、6回にポランコが適時打を放ち勝ち越し、2試合連続勝利投手となった。

 4月22日のオリックス戦では、1-4の5回二死一塁の場面で先発・毛利海大の後を受けて登板し、2回1/3を投げ無失点。

 右打者のインコースにツーシームで内野ゴロを打たせ、ゴロアウトの山を築く。「ツーシームはものすごく良いですね。前は厳しいところにいこうと思っていたんですけど、真ん中に集まってもしっかり打ち取れているので、あんまり狙いすぎずやっています」と、自信を掴む。

 左打者のアウトコースに投げている球もツーシームか確認すると、「まっすぐもありますし、ツーシームもあります」とのこと。

 ツーシームが今季ここまでの登板でかなり効いている。「ツーシームも効いているんですけど、スライダーもしっかり投げられるようになっている。それがあるので、ツーシームも自信を持って投げられている。こっち(右打者の外角にスライダー)にもある分、ボールが効いてくると思って自信を持って投げられているところもあります。一辺倒じゃなくて、スライダーで打ち取っていけるのも大きいですし、いろんなパターンができたので、幅は広がったと思います」と自己分析。

 自身の武器であるフォークは2月の登板から良い。3月17日の楽天二軍戦、0-1の6回二死一塁で辰己涼介を3ボール2ストライクから空振り三振に仕留めたフォーク、4月11日の西武戦、1-5の7回無死一塁で小島大河を2ボール1ストライクから空振りを奪った4球目の136キロフォークはストライクゾーンからボールゾーンに良い落ちだった。

 「真っ直ぐのラインにベース板に落とせれば、くらいついてくると思う。落ち幅とかじゃなくて、そこにしっかり投げ込めば、バッターも反応があると思うので、それはそこを狙って投げています」

 ここまでは、取り組んできたことが発揮できているように見える。「出せていますし、これ(ツーシーム)が良く出てインコースにもっとというのは、よくないと思う。このスタイルを変えずにやっていきたいと思います」と冷静だ。

 ツーシームを覚えるよう助言をもらったサブロー監督が就任した今季、一軍で結果を残せていることは嬉しいのだろうかーー。

 「きっかけをいただいたのも監督ですし、そこの道なんだなと今投げていても再確認している部分はあります」と感謝する。

 「どこでも投げられるように。ワンポイント、ロングもするところでやっていきたいと思います」。シーズン通して活躍した先に、本当の恩返しが待っている。

取材・文=岩下雄太

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