
◆パ・リーグ オリックス3×―2楽天(28日・京セラD大阪)
28日のオリックスとの開幕戦(京セラD)の試合前。楽天トレーナー陣の足元には真っさらなシューズが輝いていた。贈り主は藤平尚真投手(26)だった。
昨季は47試合で20ホールドを挙げ、防御率1・75をマークするなど大きく飛躍した。シーズン後には実績を買われ、昨秋の「プレミア12」にも選出された。6試合無失点の快投で1セーブ、12奪三振。フル回転でチームの準Vを支えた。一気に知名度を上げた今季の注目度も高まっている。そんな右腕が尊敬する先輩を模範としたグラウンド外の行動にスポットを当ててみたい。
沖縄・金武町キャンプ中の2月13日。藤平自身が使っているメーカーのシューズ約20足がトレーナーをはじめとする球団スタッフに配られた。「プレミア12」にも帯同したコンディショニンググループの原添一徳トレーナー(36)は『「今年1年よろしくお願いします』という意味も込めた尚真からのプレゼントだったんじゃないかなと思います。サイズや色も好きなものを選べるように配慮してくれて、自ら聞いて回ってくれていた。僕らとしてはシューズは商売道具なのでうれしいですよ。ベテランのトレーナーは『うれしすぎて一回、神棚に飾ってから履く』って言ってました」と真心に感謝した。
10歳も下の選手が見せた配慮に、原添トレーナーは「侍ジャパンを経験して、精神的に“太くなった”というか、立ち振る舞いが大人になった感じがしますよね。食生活の面でも、登板のことを考えて、お酒もほとんど飲まなくなったし、次の試合に向けて自分とどう向き合うかを常に考えるようになった」と、成長を感じたという。
今回のプレゼントは唐突な思いつきだった訳ではなく、長らく自主トレを共にしてきた尊敬する「師匠」2人を見習っての心配りだった。「岸さんとか涌井さんが裏方さんにプレゼントを贈っているのを見ていて、いつか自分もしたいなと思っていたんです。今年も迷惑をお掛けすると思うので、その“前払い”じゃないですけど」と、少し恥ずかしそうに明かしてくれた。
かつては岸が「アップルウォッチ」を、横浜高の先輩で現中日の涌井が「ランニングシューズ」をスタッフに贈る姿を見て、両先輩の「優しさ」と「感謝を形にする大切さ」を学んだという。
原添トレーナーは「けがなくやれば今シーズンもやってくれると思う。気持ちのこもったプレーで見る人を引きつけてほしいですね。それが僕らの仕事の原動力にもなるし、奮い立たせてもらえるので」と、スタッフの思いを代弁した。
技術面だけでなく精神面でも一回り大きくなった背番号46が今季はどんなパフォーマンスを見せてくれるか、楽しみだ。(記者コラム・長井 毅)
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