柳田の前後が不振、つながりを欠いた前半戦のホークス打線 例年と異なり、前半戦は得点と失点の差が均衡する一進一退の状態で、大きな貯金を作れなかった福岡ソフトバンクホークス。首位埼玉西武と最大11ゲーム差と大きなビハインドを背負いながらも、8月以降の猛追によって3ゲーム差にまで接近しました。 しかし、9月の直接対決で5連敗を喫し、リーグ連覇の夢は潰えました。そんなホークスのペナントレースにおける得点と失点の移動平均を使って、チームがどの時期にどのような波に乗れたかを検証してみます。移動平均とは大きく変動する時系列データの大まかな傾向を読み取るための統計指標です。 グラフでは9試合ごとの得点と失点の移動平均の推移を折れ線で示し、得点>失点の期間はレッドゾーン失点>得点の期間はブルーゾーンとして表しています。 5月上旬までは、投手が平均4点以下に抑え、勝ちを収めてきましたが、サファテ、岩嵜のリリーフエース2人の故障による投手への負担増が影響したか、5月中旬以降失点が目立つようになり、幅は狭いもののブルーゾーンが目立つようになりました。 主砲の柳田悠岐は交流戦を除くと、常にOPSが1を超えるという好調が続いていたのですが、7月まで1、2番の出塁率が低迷し、柳田の前でチャンスメークができない状況が続きました。また、柳田の後ろに構えるベテランの攻撃陣も、前半戦の成績が低迷。本塁打は出てはいましたが、つながりに欠ける打線となっていました。デスパイネ 打率.221 OPS.805 得点圏打率.189 本塁打19内川聖一 打率.226 OPS.615 得点圏打率.174 本塁打6松田宣浩 打率.227 OPS.731 得点圏打率.254 本塁打14内川、デスパイネの離脱が「怪我の功名」に 7月に内川が打率.306、OPS.819と復調するも、デスパイネが打率.197、OPS.682と低迷。8月に入るとデスパイネが打率.349、OPS1.091と回復するや、今度は内川が打率.195、OPS.434と不振に陥り、打線のつながりが見出せない状況が続きます。さらには、8月16日に内川が体調不良、翌17日にはデスパイネが怪我により登録抹消。ベテラン主軸の相次ぐ離脱に不安が漂ったホークスでしたが、これがある意味「怪我の功名」となったのです。 8月中旬から1番に定着した牧原大成、デスパイネに代わり登録されたキューバ出身のグラシアルといった面々に加え、5番に昇格した松田、2番の今宮健太の覚醒による攻撃力の向上があったのです。〇8月月間成績牧原 打率.324 OPS.750 本塁打1今宮 打率.296 OPS.908 本塁打5グラシアル 打率.340 OPS1.002 本塁打4松田 打率.371 OPS1.153 本塁打8〇8月16日以前の攻撃データ打率.259 出塁率.318 OPS.758 平均得点4.46 1試合本塁打平均1.43〇8月17日以降の攻撃データ打率.282 出塁率.345 OPS.823 平均得点 5.56 1試合本塁打平均1.37 結果、大きく得点力を向上させています。本塁打数が若干の減少となっているのに得点力が上がっている理由は「ソロホームラン率の減少」にあります。8月16日以前 走者なし本塁打割合57.3% 本塁打得点平均1.518月17日以降 走者なし本塁打割合45.8% 本塁打得点平均1.76 上位打線の出塁率が上がったことで、ランナーをためた状態での本塁打による得点力向上を果たしたのです。さらに、8月16日以前の防御率は4.14でしたが、8月17日以降の防御率は3.25と失点も抑えられ、投打がうまく噛み合う状況となり、大きなレッドゾーンが形成されたのでした。 結局2位でペナントレースを終えたホークスでしたが、クライマックスシリーズで9月の5連敗の借りを返すかのような快進撃を見せ、2年連続の日本シリーズ進出を決めました。 日本シリーズでの広島との対決では「甲斐キャノン」と称された甲斐拓也の6回連続盗塁阻止が印象に残っていることでしょう。盗塁されるということはそれだけ出塁も許しているということで、WHIP1.21は平均的な数値ではあります。しかし、盗塁阻止だけでなく、投手が出したランナーのうちベース上に残ったランナーの割合を示す「LOB%」が84.8%。走者を出してからの投手陣の踏ん張りもあり、4勝1敗で2年連続で日本シリーズを制し、シーズンを終えました。 続きを読む