二軍での練習日。平沢大河内野手は、いつもより早めに目が覚めたため、午前7時に球場入りをして先にウェートを行うことを決めた。誰もいないと思い、ウェートルームのドアを開けると引退試合に向けて二軍調整を行っていた井口資仁内野手が汗を流している姿があった。
「あれだけのベテランの人がこんなに早く来てウェートをしているとは思わなかった。ビックリした。2人きりだったので緊張しました」
これまで大ベテランと二人だけの空間を過ごしたことがなかった。プロ2年目の若者にとって井口とはテレビで見ていた大リーガーだった。小学生の頃、大リーグ中継を見ているとシカゴホワイトソックスの背番号「15」を背負った日本人大リーガーが躍動をしていた。その思い出が強烈にある。そんな大先輩からウェートルームで声をかけてもらった。「二軍に落ちてどれくらい経つの?そろそろ上がらないといけないなあ」。たわいもない会話だった。それでも、なんとなく...