春先に見せた埼玉西武の快進撃は、今季のパ・リーグ序盤戦におけるトップトピックとなった。元来、選手個々の潜在能力の高さには定評のあったチームだが、主力選手の退団もあり、下馬評は必ずしも芳しいものではなかった。指揮官は、いかにしてチームを引き上げたのだろうか。今季の戦いから勝負の後半戦へ向けた展望、そして、それらの根幹にある指導理念まで。今回のインタビューでは、獅子を率いる辻発彦監督の胸中に迫った。
理想の野球を体現した序盤の戦い
開幕から1カ月の間で積み上げた貯金の数は「14」。現在、リーグ首位を行く埼玉西武ライオンズは開幕ダッシュに成功し、ペナントレースをリードしている。
「4月までの1カ月で14個も貯金ができたというのは異常なくらいで、私としてもびっくりしています。先発投手陣が頑張ってくれていたし、打線もチャンスの時の集中力があって、たくさんの得点を取れた。投打とも素晴らしかったです」
埼玉西武を指揮して2年目になる辻監督は衝撃の1カ月をそう振り返った。戦前の埼玉西武がこれほどの開幕ダッシュをすると予想していた人は、そう多くはいなか...