かつて「鷹のプリンス」と呼ばれ、海の向こうではマイナー契約から這い上がり、所属する先々の球団でファンを魅了し続けた、あの男が帰ってきた。3月31日の試合後、福岡ソフトバンクは川崎宗則選手との入団基本合意を発表。4月1日には工藤監督同席のもと会見を行い、「2日前までアメリカにいました。クビになりました」と笑わせ、2011年以来、6年ぶりの古巣、そして日本球界復帰となった。
2011年までの一軍実働11年で積み上げた通算1343安打、打率.294、267盗塁。日本球界で確固たる地位を確立していながらも、「憧れ」であったイチロー選手(現マーリンズ)とのプレーを求めて渡米し、イチロー選手が在籍していたマリナーズへ加入した。その時のシーズン途中にイチロー選手がヤンキースへ移籍するという事態となったが、その後もアメリカでのプレーを求め続け、トロント、シカゴでは決して腐ることなくマイナー契約からメジャーの舞台に這い上がった。トロントでは現地メディアへの取材に英語で応える姿がファンを魅了。シカゴでは試合出場は限られ、ワールドシリーズのメンバー入りも逃したもののチームに帯同。持ち前の明るさでチームを鼓舞し続け、チームにとっては実に108年ぶり、自身にとっても悲願のワールドチャンピオンに輝いた。
35歳となり、もはや中堅ではなくベテランと呼ばれる年齢となって、チーム、ファンにとっても待望の復帰。しかし現在の福岡ソフトバンクの内野は、川崎選手の移籍後に台頭したショート・今宮選手をはじめ、二塁には本多選手、三塁には松田選手、一塁も内川選手と、レギュラーとして割って入るには厳しい状況と言える。それでも「帰るならばホークスのみ」という思いを貫き、そして「一番に声をかけてくれた」(川崎)という古巣復帰を選んだ。メジャーに残っていても過酷な競争にさらされていたことが予想されるが、同じく日本でも試合に出るために、川崎選手移籍後にポジションを得た選手たちとの競争に臨む...