前千葉ロッテ・伊藤投手、日本一胴上げ投手の誇りを胸に進む第二の人生

2016.12.23(金) 00:00 パ・リーグ インサイト マリーンズ球団広報 梶原紀章
千葉ロッテマリーンズ・伊藤義弘氏 ※球団提供

パソコン教室に通うマリーンズ戦士の姿があった。彼は一日5時間ほど必死にパソコンと向き合い、エクセルやワード、パワーポイントの使い方をマスターしようとしていた。思えば6年前の2010年11月7日。伊藤義弘投手は日本シリーズのマウンドにいた。第7戦。延長12回までもつれたドラゴンズとの激戦を制したマリーンズのマウンドで、背番号「30」は力投した。最後の打者・藤井を外角のスライダーで遊ゴロに打ち取ると、両手を高々と突き上げた。シリーズ第7戦。2回を投げて打者6人、無安打、無失点。ナゴヤドームで躍動し、チームを日本一に導く活躍をした。月日は流れた。あの日の胴上げ投手は現役を引退し、第二の人生を歩み始めていた。
「日本シリーズは楽しかったですね。あれは一番の思い出です。胴上げ投手になれたことは新たな人生を歩む自分にとっては大きな誇りだし、自信になります。だって、街を歩いていて日本一の胴上げ投手になった人と、すれ違うことはないですからね」
今思うと不思議な縁で、栄光の瞬間を迎えた。7対6のマリーンズ1点リードで迎えた9回。最後のマウンドに抑えの小林宏之が上がった。その瞬間を伊藤はブルペンで見ていた。シーズンは65試合に登板。ポストシーズン、日本シリーズも連投を重ね獅子奮迅の働きを見せたが、この日は出番がなかった。「調子がとてもよかった。最後の試合も投げたかったなあと思いながらモニターを見ていた」。ブルペンから誰よりも早くマウンドに走っていき、歓喜の輪に加わろうと意気込んでいたが、マリーンズはこの回、同点に追いつかれてしまう。結果、11回からマウンドに呼ばれた。次の回に勝ち越すと、最後も3者凡退に抑え、勝利投手と胴上げ投手になった。最高の...

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