応援とは時に不思議な力を発揮する。
メジャーリーグで応援が大きな力を発揮した場面は数多くあるが、記憶に新しいのが2013年10月1日、ピッツバーグで開催されたナショナル・リーグワイルドカードの一発勝負での試合だ。マウンドに立っていたのは、当時シンシナティ・レッズに所属していたジョニー・クエト投手だ。
試合開始からパイレーツファンはクエト投手の名前を連呼し、マウンド上での動揺を誘っていた。するとクエト投手は、普段難なくこなしている投球に入る前の動作でボールを落としてしまった。明らかに、敵地の応援がクエト投手を動揺させていた。敵地の雰囲気に完全に呑まれてしまい、結局クエト投手は本来の投球を見せることなく4回途中にマウンドを降りた。試合序盤からファンの声援が作り出した雰囲気によりパイレーツは勝利し、プレーオフの次なる戦いへと...